「歯周病」と「腸活」、そして「ダイエット」。
一見すると別々のテーマに思えますが、実はこの3つに関係があることをご存じでしょうか?
2026年5月放送の『日曜日の初耳学』では、美容家のMEGUMIさんが、痩せやすい身体づくりの習慣として「朝食前の歯磨き」を紹介していました。
歯磨きがダイエットと関係するなんて、ちょっと意外ですよね!
私は理学療法士として20年以上、身体の健康や機能回復に関わってきました。また、過去には20kgの減量を経験し、食生活や腸内環境についても関心を持っています。
そんななか、2025年には理化学研究所などの研究グループが、歯周病患者では腸内細菌の構成にも変化が見られることを報告しました。
さらに、運動療法によって口腔内の細菌環境が変化するという研究もあります。
2026年10月21日放送のNHK Eテレ『きょうの健康』でも、進行した歯周病の治療法がテーマとなっています。
今回は、歯周病と腸活・ダイエットの関係を中心に、最新の研究や番組の放送案内にある治療法について、理学療法士の視点から考えてみました。
この記事で分かること
- 歯周病と腸内環境にはどんな関係がある?
- 肥満によって歯周病が悪化する可能性はある?
- 運動療法で歯周病菌が減るという研究結果
- MEGUMIさんが実践する朝食前の歯磨き
- 『きょうの健康』でテーマとなった歯周病治療と骨の再生
- 20kgの減量経験から考える健康習慣
歯周病と腸活・ダイエットにはどんな関係がある?
歯周病と腸内環境、そして肥満には、それぞれ関係があることが研究で示されています。
そもそも歯周病とは、歯と歯ぐきの境目などに細菌が増殖し、炎症を引き起こす病気です。
進行すると、歯ぐきだけでなく、歯を支えている骨(歯槽骨)まで破壊されてしまうことがあります。
しかし、歯周病の影響は口の中だけにとどまらない可能性があるのです。
近年の研究では、次のような関係が注目されています。
| テーマ | 研究で分かってきたこと |
|---|---|
| 歯周病と腸活 | 歯周病患者では腸内細菌の構成にも違いが見られる |
| 歯周病と肥満 | 肥満に伴う腸内細菌の変化が歯周病を悪化させる可能性 |
| 歯周病と運動 | 運動療法後に一部の歯周病菌が減少した研究がある |
| 歯周病とダイエット | 肥満や代謝、口腔内環境の関連について研究が進んでいる |
つまり、口の健康と腸の健康は、私たちが思っている以上に密接に関係している可能性があるのですね。
ただし、歯周病を治療すれば痩せる、あるいは腸活だけで歯周病が治るということではありません。
それぞれの研究内容を、もう少し詳しく見ていきましょう。
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歯周病菌は腸内環境にも影響する?最新研究を紹介
2025年5月22日、理化学研究所・新潟大学・群馬大学などの研究グループが、歯周病と腸内細菌の関係について興味深い研究成果を発表しました。
研究テーマは「口腔細菌叢の乱れは腸内細菌叢の乱れ」。
口腔細菌叢とは、口の中に存在するさまざまな細菌の集まりのことです。
歯周病患者30人と健康な23人を比較
研究では、次の人たちの唾液や便に含まれる細菌を調べました。
- 中等度から重度の歯周病患者:30人
- 口の中が健康な人:23人
その結果、歯周病患者では口の中だけでなく、腸内細菌の構成にも違いがあることが分かりました。
さらに注目したいのが、歯周病治療後の変化です。
歯周病の治療を行うと、口腔内細菌だけでなく、腸内細菌の構成にも変化が見られました。
腸内細菌の構成が健康な人に近づく傾向も認められています。
つまり、歯周病の治療は、口の中だけでなく腸内環境にも関係している可能性があるのです。
歯周病菌は唾液と一緒に飲み込まれている
私たちは日常生活のなかで、唾液を何度も飲み込んでいます。
その唾液には、口の中に存在する細菌も含まれています。
これまでは、胃酸などの働きによって、多くの口腔細菌は腸内環境に大きな影響を与えないと考えられてきました。
しかし、今回の研究では、歯周病による口腔内細菌の乱れが腸内細菌にも関係している可能性が示されました。
研究対象は比較的小規模ですが、歯周病と全身の健康を考えるうえで興味深い結果です。
腸活といえば、ヨーグルトや発酵食品、食物繊維などの食事ばかりに目が向きがちです。
でも、腸に入ってくるものを考えると、口の中の健康も大切なのかもしれませんね。
参考:理化学研究所|口腔細菌叢の乱れは腸内細菌叢の乱れ(2025年5月22日)
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肥満と歯周病は関係する?腸内細菌との意外なつながり
実は、歯周病と腸内環境の関係だけでなく、肥満との関係についても研究が進んでいます。
2021年6月、新潟大学と理化学研究所などの共同研究グループが、肥満によって歯周病が悪化する仕組みを報告しました。
肥満による腸内細菌の変化が歯周病に影響?
この研究では、肥満マウスの腸内細菌を利用して、歯周病が悪化する仕組みを調べています。
その結果、次のような関係が示されました。
- 肥満によって腸内細菌の構成が変化する
- 腸内細菌の働きによってプリン代謝が活発になる
- 血液中の尿酸が増加する
- 歯周病に伴う炎症性の骨破壊が促進される
つまり、肥満に伴う腸内細菌の変化が、歯を支える骨の破壊に関わっている可能性が示されたのです。
もちろん、これはマウスを使った実験です。
人間でも同じ仕組みがどの程度働くのかについては、さらに研究が必要です。
それでも、腸内環境の変化が口の中の病気にまで関係するというのは驚きですね。
ダイエットは歯周病予防にもつながる?
肥満と歯周病には関連があるとされていますが、体重を減らすだけで歯周病が改善するわけではありません。
歯周病の基本は、あくまでも歯垢や歯石の除去、毎日の口腔ケアです。
ただ、肥満の改善や適切な食生活が、身体全体の炎症や代謝の状態に関係することを考えると、健康的な体重管理も大切な視点だと感じます。
ダイエットは体重計の数字だけでなく、身体の内側の健康を考えるきっかけにもなるのですね。
参考:新潟大学|肥満が歯周病を悪化させる仕組みを解明(2021年6月3日)
運動すると歯周病菌が減る?理学療法士が研究を考察
今回、理学療法士として特に興味を持ったのが、運動療法と歯周病菌の関係です。
2021年4月、筑波大学が「メタボ患者の歯周病は運動で改善する」と題した研究成果を発表しました。
3か月間の運動療法で口腔内細菌に変化
研究の対象となったのは、歯周病と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を持つ中年の肥満男性49人です。
この49人に3か月間の運動療法を行い、その前後で唾液の成分や口腔内細菌を調べました。
また、食事療法を受けた中年の肥満男性21人との比較も行っています。
その結果、運動療法を受けた人たちには、次のような変化が見られました。
- 口腔内細菌の種類の多様性が増加
- 一部の歯周病菌の数が減少
- 細菌由来の炎症に関係する物質の産生能力が低下
運動療法によって、口腔内環境にも良い変化が生じる可能性が示されたのです。
理学療法士として考える運動と炎症の関係
理学療法では、筋力や関節の動きだけでなく、運動によって身体全体にどのような変化が起こるのかも考えます。
運動には、筋肉の働きを改善するだけでなく、代謝機能や全身の炎症状態に影響する作用があります。
今回の研究からは、そうした運動の効果が、口腔内の細菌環境にも関係している可能性が考えられます。
ただし、今回の研究結果だけで、ウォーキングや筋トレによって歯周病が治るとまではいえません。
歯周病の治療には、歯科医院での専門的なケアが必要です。
それでも、運動が身体のさまざまな場所に影響を与えることを考えると、理学療法士として非常に興味深い研究でした。
ダイエットのために始めた運動が、体重管理以外の健康にもつながる可能性があるのは、うれしい発見ですね。
参考:筑波大学|メタボ患者の歯周病は運動で改善する(2021年4月10日)
MEGUMI流・食前の歯磨きはダイエットにも役立つ?
2026年5月24日放送の『日曜日の初耳学』では、美容家のMEGUMIさんが、痩せやすい身体をつくるための日常習慣を紹介しました。
その一つが「朝食前の歯磨き」です。
MEGUMIさんは、食事の前に口腔内の細菌を減らすことが、腸内環境を考えるうえでも大切だと紹介していました。
MEGUMIさんが紹介した朝の歯磨き方法
番組で紹介された方法は、次の2段階です。
- 最初は歯ブラシに何もつけずにブラッシングする
- その後、歯磨き粉をつけてブラッシングする
MEGUMIさんは、口の中の汚れをしっかり落とすことを意識しているそうです。
朝起きたときは、就寝中に増殖した細菌が口の中に存在しています。
そのため、朝食前に歯磨きをすることは、口の中を清潔にする習慣として取り入れやすい方法ですね。
食前の歯磨きだけで痩せる?
ここは少し整理して考えたいところです。
歯磨きをすると口腔内の細菌や歯垢を減らすことができますが、食前に磨くこと自体で体重が減るという十分な科学的根拠があるわけではありません。
また、食前の歯磨きだけでなく、食後に食べかすや歯垢を取り除くこと、就寝前に丁寧に磨くことも大切です。
私が今回の研究を調べて感じたのは、歯磨きが直接ダイエットになるということよりも、口腔内環境と腸内環境の両方に目を向ける大切さです。
MEGUMIさんのように、毎日の美容習慣として歯磨きを意識することは、健康管理の良いきっかけになりそうですね。
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【きょうの健康】歯磨きの方法と溶けた骨の再生治療
2026年10月21日放送のNHK Eテレ『きょうの健康』では、「歯を守る!『歯周病』対策 進行したら どう治療する?」がテーマとなっています。
講師は東京科学大学の岩田隆紀教授です。
歯周病が進行した場合、どのような治療が行われるのでしょうか?
番組の放送案内で取り上げられている治療の要点をまとめました。
歯周病の治療法は?
- ブラッシング指導:自分に合った歯磨きの方法を学ぶ
- スケーリング:歯垢や歯石を除去する
- フラップ手術:歯ぐきを切開し、深い部分の歯石などを取り除く
- 歯周組織再生療法:失われた歯槽骨などの回復を目指す
歯周病を防ぐ歯磨きの基本は?(日本歯周病学会の情報から)
- 歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く
- デンタルフロスや歯間ブラシも活用する
- 歯垢を残さないよう、磨き残しを減らす
- 定期的に歯科医院で歯石除去やチェックを受ける
歯周病で溶けた骨は再生する?
- 歯周病によって失われた骨は、自然に完全回復するとは限らない
- 条件が合えば、歯周組織再生療法によって骨の一部が再生する可能性がある
- すべての患者さんが再生療法の対象になるわけではない
- 治療後も毎日のセルフケアと歯科医院での管理が重要
日本歯周病学会によると、再生治療が適応となるケースでは、失われた歯槽骨の一部が回復することが期待できます。
ただし、骨の欠損状態などによって適応が限られ、治療後の回復にも長い時間がかかります。
歯周病は、進行してしまったら必ず歯を失うというわけではありません。
早めに歯科医院で状態を確認し、適切な治療を受けることが大切です。
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20kg減量した理学療法士が考える口腔ケアと健康習慣
私は過去に20kgの減量を経験しました。
ダイエットを続けるなかで感じたのは、一時的に頑張ることよりも、毎日の習慣をどう整えるかが大切だということです。
食生活を見直したり、身体を動かしたり、無理なく続けられる方法を探したり。
体重を減らすために始めたことでも、結果的に身体全体の健康を考えるきっかけになりました。
今回、歯周病と腸活の関係について調べてみて、口腔ケアもその一つなのだと感じています。
腸活は食べ物だけではない?
腸活というと、どうしても食事内容に注目しがちです。
ヨーグルト、納豆、食物繊維、発酵食品など、腸内環境に良いとされる食品は数多くあります。
もちろん、食事は重要です。
しかし、今回紹介した研究では、歯周病と腸内細菌の関係や、運動療法による口腔内細菌の変化も報告されています。
つまり、腸内環境を考えるなら、食事だけでなく、口の中の健康や運動習慣にも目を向けてみる価値がありそうです。
理学療法士として大切にしたい「続けられる習慣」
理学療法の現場でも、患者さんが日常生活のなかで無理なく続けられる方法を考えることがあります。
どれほど良い運動でも、継続できなければ効果を積み重ねることは難しくなります。
これは、ダイエットや口腔ケアにも共通する考え方だと思います。
例えば、
- 毎日の歯磨きを丁寧にする
- 自分に合った歯間ブラシやフロスを使う
- 食事内容を少しずつ整える
- 無理のない運動を生活に取り入れる
- 定期的に歯科医院でチェックを受ける
特別なことばかりでなく、こうした習慣を組み合わせていくことが、長期的な健康維持につながるのではないでしょうか。
そして、今回の研究を知って、私自身も歯周病予防をもっと意識していきたいと思いました。
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まとめ|歯周病予防は腸活とともに考えたい
今回は、歯周病と腸活・ダイエットの関係について、近年の研究やテレビ番組で紹介された健康習慣をもとに考察しました。
今回のポイントをまとめます。
- 歯周病患者では、腸内細菌の構成にも違いが見られる
- 歯周病治療後に腸内細菌の構成が変化したという研究がある
- 肥満による腸内細菌の変化が歯周病を悪化させる可能性がある
- 運動療法によって一部の歯周病菌が減少した研究がある
- MEGUMIさんは朝食前の歯磨きを健康・美容習慣として紹介
- 進行した歯周病でも、状態によっては外科治療や再生療法が選択肢になる
今回、理学療法士として特に興味を持ったのは、運動療法によって口腔内細菌に変化が見られたという研究でした。
身体を動かすことが、筋肉や心肺機能だけでなく、口の中の細菌環境にも関係する可能性があるのは驚きです。
また、20kgの減量を経験した私にとって、歯周病と腸内環境の関係は、腸活について改めて考えるきっかけになりました。
腸活は食べ物だけ、歯周病は歯だけ、ダイエットは体重だけ。
そう考えるのではなく、身体全体の健康を一緒に考えていくことが大切なのかもしれませんね。
これからは、腸活や運動だけでなく、毎日の歯磨きや定期的な歯科受診も意識していきたいと思います。
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