2026年7月9日放送のNHK『あしたが変わるトリセツショー』では、骨ケアで健康革命「一生モノの骨」が特集されました。
「骨卒中って何?」
「大腿骨を骨折すると、5人に1人が1年以内に亡くなるって本当?」
そんな衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか。
「まだ自分の骨は大丈夫」と思いがちですが、骨粗しょう症は自覚症状が少ないまま進行することも少なくありません。
番組で紹介されたチェックリストで現在の状態を確認し、早いうちから予防運動に取り組むことは、将来の自分を助けることにつながる可能性があります。
この記事では、『あしたが変わるトリセツショー』で紹介された骨卒中予防の運動について、高齢者のリハビリテーションに20年以上携わってきた理学療法士の視点から、分かりやすく図解で解説していきます。
【コツ活】一生モノの骨!世代別に最も効果的な運動のやり方は?
一般的に、骨は重力などの力学的負荷(ストレス)をかける運動で強くなる、といわれています。
以下、トリセツショーで紹介された運動と、萩野先生が推奨する世代別の運動についての説明を紹介します。
貯骨期(子ども〜成人)|「骨貯金」を最大化する時期
番組では、貯骨期に良い運動として「ジャンプ」が紹介されました。
この時期の骨芽細胞の頑張りで、骨密度のMAX(上限)が決まると言われています。
【コツ活運動】ジャンプ

- 重力の刺激で「骨芽細胞」が活性化。
- 1日10回、週2~3回で効果あり。
- 痛みがある方、転倒が心配な方は控えましょう。
- 周りの環境に配慮して行って下さい。
貯骨期の運動のポイント
- 萩野医師の見解:
骨量は20代頃に人生のピーク(最大骨量)を迎えます。
この時期までにどれだけ骨量を増やせるかが、将来の骨粗鬆症リスクを左右するため、「若い頃の骨貯金」が最も重要であると指摘しています。 - 具体的な方法:
- 運動: 番組では、「ジャンプ」が良いと紹介されました。
ジャンプやダッシュ、縄跳びなど、骨に強い衝撃(インパクト)を与える運動が最も効果的です。 - 食事: 過度なダイエット(食事制限)は骨の成長を妨げるため厳禁です。
カルシウムを豊富に含む乳製品や小魚を積極的に摂ります。
- 運動: 番組では、「ジャンプ」が良いと紹介されました。
維持期(成人〜60代)|「骨量のキープ」と「生活習慣のベース作り」
番組では、維持期(成人~60代)に良い運動として「スクワット」が紹介されました。
維持期とは、「骨芽細胞」と「破骨細胞」のバランスを維持する時期、という意味です。
【コツ活運動】スクワット運動

- 10回を1セット、1日2~3セットが目安。
- 翌日に疲れが残らない程度が良い。
- 筋肉を動かした刺激が骨芽細胞を活性化。
細胞が増える報告も! - 負荷が高いほど効果も高い。
- 好きなスポーツを続けるのもOK!
- 転倒に気を付けて行いましょう。
- 痛みがある場合は中止しましょう。
維持期の運動のポイント
- 萩野医師の見解:
ピークに達した骨量をできるだけ減らさずに維持する時期です。
この時期の運動不足や栄養の偏りは、50代以降の急激な骨量減少を引き起こす原因になります。 - 具体的な方法:
- 運動: スクワットなどの筋トレが良いと紹介されました。
日常的な活動量を落とさないことが大切です。階段の利用、早歩きでのウォーキング、ジョギングなど、継続しやすい荷重運動を取り入れます。 - 習慣: 骨を破壊する原因となる過度な飲酒や喫煙を控えることが、この世代の大きな予防策となります。
- 運動: スクワットなどの筋トレが良いと紹介されました。
番組では、日光を浴びながらのウォーキングも良い、と紹介されました。
骨粗期(70代以降〜)|「急激な減少の抑制」と「転倒防止」
骨密度が低下しがちな世代では、「破骨細胞」の働きを抑え、骨折のきっかけを作らないことが大切を紹介されました。
【コツ活運動】健康体操2026の「片足立ち・かかと上げ・スクワット」
トリセツショーで以前に紹介された「健康体操2026」の片足立ち・カーフレイズ(かかと上げ)・スクワットが転倒予防になり良い、と紹介されました。



詳しくは、以下のサイトで紹介しています。
膝の痛みがある方にも対応できる運動も、併せて紹介しています👇
骨粗期の運動のポイント
- 萩野医師の見解:
特に女性は50代前後の閉経に伴い、女性ホルモンの減少から骨量が急激に低下します。
高齢期は骨密度の維持に加え、骨折の引き金となる「転倒を防ぐための筋力・バランス力強化」が必須の課題となります。 - 具体的な方法:
- 運動: 健康体操2026で紹介した「片足立ち・かかと上げ・スクワット」が転倒予防にピッタリと紹介されました。
また、この次の章で図解している「かかと落とし」「スクワット」「開眼片脚立ち(フラミンゴ体操)」がまさにこの世代に最適です。
骨に適度な力学的負荷(メカニカルストレス)をかけつつ、下肢の筋力とバランス感覚を鍛えます。 - 食事: カルシウムだけでなく、その吸収を助けるビタミンD(サケやキノコ類)や、骨質を高めるビタミンK(納豆や緑黄色野菜)を意識して組み合わせるよう推奨されています。
- 運動: 健康体操2026で紹介した「片足立ち・かかと上げ・スクワット」が転倒予防にピッタリと紹介されました。
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トリセツショー【健康体操・最新改訂版】やり方を理学療法士が図解!血圧・痛み・血糖値・転倒の予防効果👇
萩野浩医師が推奨する運動を紹介
トリセツショーの番組でも監修されている日本骨粗鬆症学会理事長の萩野浩医師が推奨する運動は以下の通りです。

- ウォーキング方法:
背筋を伸ばし、大股で、かかとからしっかり着地して歩きます。
足裏からの適度な刺激が骨密度アップにつながります。 - かかと落とし(ジャンプ運動の代替)方法:
つま先立ちをしてから、ストンとかかとを床に落とす動きを繰り返します。
骨に縦方向の強い刺激を与えることで骨形成を促します。 - スクワット方法:
椅子に座る・立つ動作をゆっくり繰り返すなど、太ももや臀部などの大きな筋肉を鍛え、転倒予防となる筋力をつけます。
一方で、膝の痛みがある方の中には、ジャンプやスクワットなどの運動が難しい場合もあります。
そのため、理学療法士として膝痛がある方向けの代替方法についても紹介します。

膝の衝撃を緩和するために、膝を少し曲げながら「かかと落とし」をしたり、スクワットでは深く曲げすぎないことで痛みが緩和出来ると思います。
理学療法士のひとこと
骨粗しょう症学会を牽引する萩野浩先生が推奨するものは、骨は運動と食事で対応していく、という内容でした。
骨と筋肉は密接な関係にあるのですね。
骨と筋肉は別々の組織に見えますが、実際にはお互いに刺激し合う「運命共同体」のような存在です。
筋肉が動くことで骨に適度な刺激が加わり、骨は「もっと強くなろう」と反応します。
逆に筋肉量が減ると骨への刺激も減り、骨密度低下につながることが知られています。
理学療法士として現場で高齢者のリハビリを行う私としても、骨と筋肉の両面からのアプローチが重要である、という内容は、とても納得の見解だと感じました。
トリセツ流「骨粗しょう症チェックリスト」
番組で紹介された萩野先生が「骨粗しょう症チェックリスト」はこちらです。
以下の項目に一つでも当てはまると、骨密度が低下している可能性があります。
- 65歳以上である
- 閉経した、または、月経不順がある
- 骨折した経験がある(転倒などの軽い衝撃で)
- 家族に骨粗しょう症・足の付け根を骨折した人がいる
- ステロイドの経口投与 または 関節リウマチ
- 20代の時と比べて身長が4センチ以上縮んだ
- 運動習慣がない
- 体格が細身(BMI18.5未満)
- 急激なダイエット経験がある
- 喫煙の習慣がある
- 毎日多量の飲酒をしている
一つでも当てはまる場合は、骨密度を測定することが推奨されました。
急激なダイエットは、
- 成長期 → カルシウムをためきれない
- 成人後 → 骨密度を減らす
として、注意が必要であると紹介されました。
また、体重(負荷)が加わると骨芽細胞が感知し骨を造るシグナルが出されるため、低体重は骨密度が低下する要因になると紹介されました。
骨密度が測定できる場所は?
骨密度が測定できる場所は以下の通りです。
- 整形外科・内科・産婦人科などで測る
➔ 測定機器を置いているかどうか事前に確認を - 人間ドック
➔ オプションで測る - 骨粗しょう症検診を受ける(萩野先生おすすめ)
➔ 詳しくはお住まいの自治体へお問い合わせを
現状を知って、予防できる対策を取ることが、健康を土台に好きなことをし続ける原点になると思います。
BMI18.5以下って体重でいうとどのくらい?
BMI18.5以下が体重で言うとどのくらいなのかは、身長によります。
大まかにいうと、160㎝で47.4㎏未満、170㎝で53.5㎏未満が目安です。
BMIの指標について、特殊な計算が必要です。
【BMIの計算方法】
BMI = 体重(㎏)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
以下の記事(トリセツショー「骨やせ」の回のまとめ記事)では体重・身長から確認できる適正体重(BMI18.5~25未満)の早見表を付けています。
適正体重以下だったら、BMIが18.5以下になる、という点で確認頂けるかと思います。
良かったらご参照下さいね。
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【トリセツショー】新・体重のトリセツ「骨&筋肉」を強くするには?BMIはどのくらい?👇
骨密度が低くなるメカニズムとは?
身体を支える機能を持つ「骨」は、一度作られたら終わりではなく、毎日少しずつ生まれ変わっています。
古くなった骨を壊す「破骨細胞(はこつさいぼう)」と、新しい骨を作る「骨芽細胞(こつがさいぼう)」が協力して、骨を常に丈夫な状態に保っているのです。
さらに骨には、筋肉を動かしたり神経の働きに必要なカルシウムを蓄える「カルシウム貯蔵庫」としての役割もあります。
カルシウムは、体内では以下の役割をする、生きる上で必須の栄養素。
- 筋肉を動かす
- 神経の情報伝達
- 心臓を動かす
血液中のカルシウムが不足すると、破骨細胞が骨を溶かしてカルシウムを取り出し、全身へ届けています。
一方で、骨芽細胞は血液中のカルシウムを取り込み、新しい骨を作っています。
この「壊す」と「作る」のバランスが取れている間は、骨は丈夫なまま維持されます。
しかし、
- 加齢
- 閉経による女性ホルモンの減少
- 運動不足
- やせ
- 喫煙
- 過度な飲酒
などが影響すると、骨を作る力よりも骨を壊す力が強くなってしまいます。
すると、骨の中身が少しずつスカスカになり、骨密度が低下して「骨粗しょう症」の状態へ進んでいくのです。
番組では、慶友整形外科病院の理学療法士さんたちの協力で57名の方の骨密度を計測した結果、57人中 25人が骨粗しょう症疑い、または、要注意の状態であることが分かりました。
石原さとみさんも、出産して授乳している最中に指を骨折したことを明かされました。
若くてもちょっとしたことで骨折してしまうなんて、ショックですよね。
理学療法士として高齢者のリハビリに関わっていると、骨粗しょう症による骨折は、単なる「ケガ」では終わらないことを実感します。
だからこそ、骨を作る材料となるカルシウムやビタミンDをしっかり摂ることに加え、運動によって骨に適度な刺激を与え、骨芽細胞が働きやすい環境を作ることが大切なのです。
理学療法士のひとこと
骨粗しょう症は、「カルシウム不足の病気」というよりも、「骨を作る力と壊す力のバランスが崩れた状態」と考えると分かりやすいかもしれません。
番組で紹介された「コツ活」は、このバランスを整え、骨を守るための取り組みと言えそうですね。
全世代共通の【コツ活】大切な栄養素を摂れる食材は鮭・小松菜・乳製品
番組では、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを豊富に含む食材やメニューが紹介されました。
【コツ活によい食材】
- 鮭:カルシウム・ビタミンDが豊富
- 小松菜:カルシウム・ビタミンKが豊富
- 乳製品:カルシウムが豊富
【紹介されたメニュー】
- 鮭のクリームパスタ
- 鮭の炊き込みご飯・青菜添え
- 鮭のホイル焼き
骨を強くするためには、「カルシウムを摂るだけ」では不十分です。
骨は、カルシウムを材料として、ビタミンDが吸収を助け、ビタミンKが骨に定着させることで作られていきます。
そのため、これらをバランスよく摂取することが大切です。
- カルシウム(乳製品・小松菜・鮭や小魚など): 骨の主成分
- 特に成長期や閉経後の女性では不足しやすく、毎日の食事で意識して摂取することが推奨されています。
- ビタミンD(鮭・サバ・イワシ・きのこ類など): 腸でカルシウムの吸収を促進
- せっかくカルシウムを摂っても、ビタミンDが不足していると十分に利用できません。
- また、日光を浴びることで体内でも作られるため、適度な屋外活動も大切とされています。
- ビタミンK(小松菜・ほうれん草・納豆など):骨の形成を促進
- 特に納豆はビタミンKを豊富に含む代表的な食品として知られています。
番組では、日本栄養大学(旧 女子栄養大学) 栄養学部の上西一弘教授が取材協力されました。
理学療法士のひとこと
理学療法士として高齢者のリハビリに関わっていると、「牛乳を飲んでいるから大丈夫」と思われている方に出会うことがあります。
もちろんカルシウムは大切ですが、骨は「食事だけ」「運動だけ」で強くなるわけではありません。
骨に適度な刺激を与える運動と、骨を作るための栄養の両方が揃って、初めて骨は強くなっていきます。
番組で紹介された「コツ活」は、まさにその両方を意識した取り組みなのだと感じました。
「骨」の「卒中」ってどういう意味?
骨卒中という言葉は聞きなじみがあまり無いかも知れません。
番組では、「骨卒中」とは、「身体を支える最も重要な骨がささいな衝撃で折れる」こと、として紹介されました。
具体的には、
- 大腿骨(足の付け根)
- 背骨
が折れること。
大腿骨骨折の場合、5人に1人が1年以内に亡くなるという統計的な情報も紹介されました。
「卒中(そっちゅう)」という言葉には、もともと「突然、邪風(体に悪い気)に当たって倒れる」という意味があります。
漢字を分解すると、意味がよりはっきりと見えてきます。
- 卒(そつ): 「突然」「にわかに」という意味があります(新卒などの意味とは異なり、卒倒の「卒」と同じです)。
- 中(ちゅう): 「あたる」「的中する」という意味です(中毒、日射病に“あたる”の中と同じです)。
つまり、卒中とは単体で「ある日突然、何かの衝撃に襲われて倒れること」を指す言葉です。
歴史的には、突然意識を失って倒れる脳の病気を「脳卒中」と呼んで広く使ってきましたが、今回の「骨卒中」はそこから派生した新しい表現と思われます。
脳卒中が「昨日まで元気だった人が、突然の脳の血管トラブルで倒れ、寝たきりや命の危機に陥る」のと同じように、高齢者の骨折も「くしゃみや軽い荷物を持っただけの些細なきっかけ(突然)で骨が折れ、一気に寝たきりや命の危機(寿命が縮む)に繋がる」ことから、その恐ろしさを分かりやすく伝えるために「卒中」の言葉が組み合わされたようです。
理学療法士のコラム「高齢者の四大骨折」とは?
リハビリの世界では、国家資格の試験でも出題される「高齢者の四大骨折」。
転倒などの衝撃で引き起こしやすい高齢者の四大骨折は、以下の通りです。
- 大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)
- 脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)
- 腕の付け根の骨折(上腕骨近位部骨折/じょうわんこつきんいぶこっせつ)
- 手首の骨折(橈骨遠位端骨折/とうこつえんいたんこっせつ)
今回の番組では、寝たきりになりやすい「大腿骨の骨折」や、いつの間にか骨折で知られる「脊椎圧迫骨折」について、大きく取り上げられました。
これらの骨折は全て、骨密度が低下する「骨粗しょう症」があると発生リスクが格段に高まります。
私は20代のときに、雨の日に地下鉄に乗るため階段を降りていると、滑ってしまって尻もち転倒をしたことがあります。
その時、私は理学療法士になるための学校に通っていた頃だったので、ものすごい衝撃を感じたとたん「骨が折れたかも!」と思いましたが、筋肉が痛んだだけで、骨は折れませんでした。
その当時は、年齢的にも筋肉がしっかりと付いていてクッションになってくれたこと、骨自体が強くて、骨折に至らなかったのだろうと感じています。
それでも、あの衝撃はすごかったので、やはり筋肉が減っていて骨が衝撃を直に受けやすい状態だったり、骨自体が弱かったりすると、本当に骨折してしまうだろうなと思った体験でもありました。
骨を強くする方法は、科学の進歩で分かってきています。
ぜひ対応できる方法を試して、骨折に至りにくい身体作りに努めたいですね。
まとめ
骨を強くする方法は、科学の進歩によって少しずつ明らかになってきています。
骨密度は年齢とともに低下しやすいものですが、運動や食事、生活習慣によって将来のリスクを減らせる可能性があります。
「まだ大丈夫」と思っている今こそが、実は骨を守るためのベストなタイミングなのかもしれません。
健康な骨は、好きな場所へ出かけること、趣味を続けること、大切な人と過ごすことを支えてくれる土台です。
未来の自分のための「コツ活」、今日から少しずつ始めてみませんか。
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