2026年7月、本田圭佑さんが自身のSNSで「日本代表監督を1年間任せてほしい」と発信したことで、「監督ライセンス」が再び注目を集めています。
一方で本田さん自身は、以前から
「ライセンスを取得する気は一切ない」
という考えを繰り返し発信してきました。
では、日本代表監督になるためには本当にライセンスが必要なのでしょうか?
また、本田さんが問題提起している「制度の課題」とは何なのでしょうか。
今回は、監督ライセンスの取得方法と制度の目的、そして「学びは必要だけれど、本当に5年も必要なのか?」という疑問について考えてみます。
本田圭佑は日本代表監督になれる?
結論から言うと、現在の制度ではJFA Proライセンス(旧S級ライセンス)が必要です。
日本サッカー協会(JFA)の規定では、日本代表監督やJリーグの監督になるには、この最上位資格の取得が条件となっています。
Xでも話題になった内容でしたが、山本昌邦氏(日本サッカー協会 技術委員長兼ナショナルチームダイレクター)は、前向きなコメントとして「本当に才能のある人。将来的に目指していただきたいタレントの一人」と評価しつつも、すぐに監督就任という話ではないという趣旨でした。
山本昌邦氏は、
- 日本代表監督経験者
- 長年JFAで育成や代表強化を担当
- 現在は監督人事にも関わる立場
であり、ライセンス制度を運用する側の代表的な人物でもあります。
そのため、本田さんが現時点ですぐ日本代表監督に就任することは難しい状況です。
本田圭佑がライセンスを取得するなら?取り方をわかりやすく解説
本田圭佑さんがもしライセンスを取得するなら、元日本代表選手のため特例が適応となり、通常なら5年必要なところ、最短で3年で取得可能と考えられます。
一般的には、以下の順で資格を取得します。
- D級: 主に小学生を対象とした指導の基礎。18歳以上から受講でき、講習は数日間で終了します。
- C級: アマチュア(子ども〜大人)の指導ができる基礎資格。18歳以上なら受講可能です。
- B級: より専門的な指導が可能な基礎Ⅱ。C級取得後、1年以上の指導実績が求められます。
- A級: 高校や大学、地域のアマチュアトップリーグ(なでしこリーグやJFLなど)で指導できる資格。B級取得後の実績が必要です。
- S級ライセンス(Pro): プロチームや世代別日本代表の監督・コーチを務めるための日本国内最高峰の資格です。
実際にかかる期間と費用(一般の場合)は、以下の通りです。
| ライセンス | 実際の講習期間(目安) | 進級に必要な実務経験 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| C級 | 週末などを利用して約1ヶ月 | 取得後 1年以上 の指導 | 約5万〜7万円 |
| B級 | 分割開催で計10〜15日ほど | 取得後 1年以上 の指導 | 約10万〜13万円 |
| A級 | 年間を通じた複数回の合宿形式 | 取得後 1年以上 の指導 | 約20万〜30万円 |
| S級 | 海外研修含む約1年間のカリキュラム | — (最上位) | 約50万円〜 |
各級の講習会そのものは数日〜数ヶ月ですが、上の階級に進むために「1年以上の指導実績(待機期間)」が義務付けられています。
さらに上の級ほど定員が絞られるため、受講の順番待ちで何年もかかってしまうのが普通です。
しかし、本田さんのように国際Aマッチで十分な実績を持つ元日本代表選手には特例があります。
下位ライセンス(D級〜B級)が免除されるため、
Aジェネラルからスタート
することが可能です。
その後、
- Aジェネラル取得
- 指導実績を積む
- Proライセンス養成講習会の選考に合格
- Proライセンス取得
という流れになります。
特例が適用されても、最短で約3年程度かかるとされています。
なぜ本田圭佑はライセンスを取らないのか?
本田さんは「勉強が不要」と言っているわけではありません。
問題提起しているのは、制度そのものです。
これまでの発言では、
- 才能ある指導者でも順番待ちが長い
- ライセンス取得まで何年もかかる
- 実力より制度が優先される
- もっと柔軟な仕組みにすべき
という考えを一貫して示しています。
海外でカンボジア代表の実質的な監督を務めた経験もあり、「資格があるかどうかより、結果を出せるか」「監督の目的はチームを勝たせること」を本質としている本田圭佑さん。
そのブレない姿勢が、本田さんらしいともいえます。
一方で、ライセンス制度が必要な理由もある
一方で、監督ライセンスには大切な役割があります。
現代サッカーの監督は、戦術だけを考える仕事ではありません。
例えば講習では、
- 選手育成
- 指導方法
- スポーツ心理学
- 組織マネジメント
- スポーツ医学
- 熱中症や脳振とうへの対応
- 最新のトレーニング理論
など、幅広い内容を学びます。
特に育成年代では、勝利だけではなく選手の安全を守る責任もあります。
理学療法士として感じる「学ぶこと」の大切さ
理学療法士として医療現場で働いていると、「経験だけでは補えない知識」があることを日々感じます。
例えば、
- 熱中症予防
- 脳振とう後の復帰基準
- 成長期のオーバーユース障害
- ACL(前十字靱帯)損傷予防
などは、医学やスポーツ科学の知識があってこそ適切に判断できます。
つまり、指導者が体系的に学ぶこと自体には大きな意味があると思います。
それでも「5年必要?」という疑問
ただ、今回調べていて私自身も疑問に思ったことがあります。
それは、
「学ぶこと」と「長い取得期間」は別ではないか
という点です。
現在の制度では、
- 段階ごとの受講期間
- 指導実績の条件
- 講習会の定員
などがあり、優秀な指導者でも数年間かかるケースがあります。
もちろん現場経験は重要です。
しかし、本田さんが指摘するように、
「短期間で集中的に学ぶ仕組み」
や
「能力に応じた柔軟な制度」
があっても良いのではないか、と感じました。
まとめ
本田圭佑さんのライセンス問題は、「制度を守るか、壊すか」という単純な話ではありません。
学ぶことは選手の安全や指導力向上につながるため、とても大切です。
一方で、現在の制度には取得まで長い年月がかかることや、受講人数が限られていることなど、見直しが議論される点もあります。
本田さんが投げかけた問いは、「ライセンスは必要か」ということではなく、
「本当に今の仕組みが、未来の日本サッカーにとって最善なのか」
ということなのかもしれません。
制度を守ることと、より良い制度へ改善していくこと。
今回の議論は、日本サッカーの未来を考える良いきっかけになりそうです。
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