地震が起きたとき、ウォーターサーバーは倒れてしまわないだろうか。そんな心配をしたことはありませんか?
確かに、背の高いウォーターサーバーには転倒防止対策が必要です。しかし一方で、断水に備えて水をストックできることは、災害時の大きなメリットにもなります。
先日NHKで、胃ろうによる栄養管理が必要なお子さんを育てるお母さんの話が紹介されていました。夜間に痰の吸引が必要になることも多く、周囲への音の迷惑を考えて避難所には行かなかったそうです。その際、ウォーターサーバーの水のストックが役立ったという話が印象に残りました。
避難所で過ごすことが難しいのは、医療的ケアが必要な方だけではありません。赤ちゃんのいる家庭や、在宅で介護をしている家庭にも共通する問題があります。
今回は理学療法士の視点も交えながら、ウォーターサーバーを「普段の便利な家電」だけでなく、断水時の備えとして考えてみたいと思います。
ウォーターサーバーは地震対策になる?断水時に役立つ理由
結論からいうと、ウォーターサーバーは地震の揺れそのものへの対策ではありませんが、地震後の断水に備える手段の一つになります。
災害時には、水道管の破損や停電による給水設備の停止で、水が使えなくなる可能性があります。
ウォーターサーバーのうち、宅配ボトル式なら次のような利点があります。
- 普段飲む水を、予備のボトルとして家に置いておける
- 日常的に使いながら補充でき、賞味期限を管理しやすい
- 重い水をその都度買って運ぶ負担を減らせる
- 未開封の予備ボトルを、断水時の飲料水として活用できる
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」でも、定期的に水が届くウォーターサーバーを備蓄方法の一つとして紹介しています。なお、災害時には停電中でも水を出せるタイプが安心とされています。
NHKで紹介された医療的ケア児のお母さんの体験
今回、私が特に考えさせられたのは、NHKで紹介されたお母さんの話です。
お子さんは胃ろうを使用しており、夜間に痰の吸引が必要になることも多いそうです。吸引器の音などが周りの人の迷惑にならないかという思いから、避難所には行かなかったとのことでした。
この話を聞いて、災害が起きても、誰もが同じように避難所で生活できるわけではないと改めて感じました。
医療的ケアが必要な方の生活には、普段使っている物品や設備、落ち着いてケアできる場所が欠かせません。断水すると、飲み水だけでなく、ケアや衛生管理に使う水の確保も課題になります。
そんなときに、日頃からウォーターサーバーの水を余分にストックしておく習慣は、助けになる可能性があります。
ただし、胃ろうや吸引などのケアで使用する水には、用途に応じた条件があります。ウォーターサーバーの飲料水が、すべての医療処置にそのまま使えるわけではありません。 必要な水の種類と量は、主治医や訪問看護師などとあらかじめ確認しておくことが大切です。
赤ちゃんや在宅介護をしている家庭にも共通する「水の備え」
医療的ケア児のお母さんの話は、ほかの家庭にも通じる部分があると思います。
例えば、赤ちゃんがいる家庭ではミルクの調乳や哺乳瓶の洗浄が必要です。高齢の方を在宅介護している家庭では、水分補給や服薬、身体を清潔に保つためにも水を使います。
| 家庭・状況 | 断水時に困りやすいこと |
|---|---|
| 医療的ケア児がいる家庭 | 経管栄養、ケア用品の洗浄、衛生管理 |
| 赤ちゃんがいる家庭 | ミルクの調乳、哺乳瓶の洗浄、日常の衛生管理 |
| 在宅介護をしている家庭 | 水分補給、服薬、口腔ケア、身体の清潔保持 |
| 一般家庭 | 飲み水、調理、手洗いなど |
特に赤ちゃんのミルクは、水があればそれで十分というわけではありません。粉ミルクの調乳に必要な湯温や哺乳器具の衛生管理は別に考える必要があり、停電時にはウォーターサーバーのお湯が使えなくなることもあります。
そのため、飲料水だけでなく、普段の生活で「何に水を使っているか」を考えて備えることが大切です。
ウォーターサーバーで水をローリングストックする方法
ローリングストックとは、日頃から使うものを少し多めに用意して、使った分を買い足しながら一定量を保つ備蓄方法です。
ウォーターサーバーなら、普段の飲み水を使いながら予備ボトルを補充できるので、特別な作業を増やさず続けやすいのがメリットです。
飲料水は何リットル備えればいい?
災害用の飲料水は、1人1日3Lを目安に考えられています。
| 家族の人数 | 3日分の目安 | 7日分の目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 9L | 21L |
| 2人 | 18L | 42L |
| 3人 | 27L | 63L |
| 4人 | 36L | 84L |
例えば4人家族なら、12Lボトル3本で3日分の飲料水の目安になります。
ただし、これは飲料水などの基本的な目安です。医療的ケア、調乳、洗浄などに必要な水は、家庭の事情に応じて別に考えましょう。
予備ボトルを使い切らない習慣をつくる
- 予備の未開封ボトルを決めた本数以上保管する
- 古いものから使い、使ったら補充する
- 保管場所と賞味期限を定期的に確認する
- 予備ボトルをサーバーなしで使えるか、専用コックなどの有無を調べる
災害が起きてから配送を頼もうとしても、道路や物流が止まる可能性があります。家にある水をすぐに使える状態にしておくことがポイントです。
地震でウォーターサーバーが倒れる?転倒防止対策も必要
水の備蓄に役立つ一方で、ウォーターサーバー本体や重いボトルが地震で倒れる危険には注意が必要です。
理学療法士としても、災害時には転倒した家具などが移動の妨げになる点が気になります。特に、車いすや歩行補助具を使う方、小さなお子さんがいる家庭では、普段の動線と避難経路をふさがない配置が重要です。
設置するときに確認したいこと
- メーカー指定の転倒防止ワイヤーや固定具を適切に使う
- 寝る場所や避難経路の近くを避けて設置する
- 予備ボトルは高い場所に積まず、落下しにくい場所で保管する
- 子どものいたずらによる操作や熱湯のやけどにも注意する
- 地震後に破損・水漏れがないか確認する
転倒防止の方法はサーバーの機種によって異なるため、取扱説明書やメーカーの案内に従いましょう。
停電・断水時に使えるかはタイプで違う
| タイプ | 災害時に確認したいこと |
|---|---|
| 宅配ボトル式・コック式 | 停電中も常温水を出せる機種がある |
| 電動ポンプ・電子操作式 | 停電すると給水できない場合がある |
| 宅配ボトル式の予備ボトル | サーバーなしで開栓・給水できるか確認する |
| 水道直結・浄水型 | 断水時は新たな水を確保できないため、別の備蓄が必要 |
「ウォーターサーバーがあるから安心」ではなく、停電しても水を取り出せる仕組みがあるかまで確認しておくと安心です。
在宅避難を考える家庭は、水と一緒に何を備える?
避難所に行くことに不安がある家庭にとって、在宅避難は大切な選択肢です。ただし、自宅の建物が安全で、火災や浸水などの危険がないことが前提になります。
特に医療的ケアや介護が必要な場合、水だけでなく次のような備えも考えておきたいところです。
- 停電に備えた医療機器用の予備電源やバッテリー
- 医薬品・栄養剤・ケア用品などの予備
- 手指の衛生用品、ウェットティッシュ、簡易トイレ
- 家族が支援を受けるための連絡先や避難先
- 必要に応じた福祉避難所、医療機関、自治体との事前相談
広島市は、医療的ケア児とその家族向けに、停電や断水への備えをまとめた災害時対応ガイドブックを公開しています。
▶ 広島市:医療的ケア児と御家族のための災害時対応ガイドブック
周囲に気を遣って避難所へ行きづらいと感じる家庭があることを知り、地域の支援や避難先についても考えておくことが大切だと感じました。
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まとめ|ウォーターサーバーは「もしも」の水を普段から備える方法の一つ
ウォーターサーバーには、地震による転倒や停電時の給水など、導入前に確認したい点があります。
その一方で、普段から水を使い、使った分を補充する仕組みは、断水時の備えとして合理的です。
今回NHKで紹介されたお母さんのお話から、災害への備えはどの家庭でも同じではないと改めて感じました。
医療的ケアが必要な子ども、赤ちゃん、在宅介護を受ける家族。必要な水の量も、過ごしやすい避難環境も、それぞれ違います。
ウォーターサーバーを選ぶときは、日常の便利さに加えて「断水したとき、家族のために使える水がどれだけ残るか」という視点も持っておきたいですね。
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