2026年9月13日放送の『情熱大陸』に、競泳の池江璃花子選手が出演しました。
番組タイトルにあるのは、
「私は天才ではなかった」
という言葉。
池江選手といえば、10代の頃から次々と日本記録を更新し、2018年のアジア大会では6冠を達成。「天才スイマー」と呼ばれてきた選手です。
一方、26歳となった現在は、かつて自分自身が残した自己ベストとの距離に葛藤する姿もあるといいます。
そこで気になったのが、
池江璃花子選手の日本記録は、実際どのくらいすごいのか?
ということ。
調べてみると、2018年に17~18歳で樹立した長水路5種目の日本記録が、8年が経過した2026年現在も残っています。
この記事では、池江璃花子選手が持つ日本記録を一覧で紹介するとともに、世界記録との差、ジュニア時代の世界記録、そして2018年と現在のタイムを比較。
最後に理学療法士の視点から、競泳における「0.5秒・1秒」がどのくらい大きな差なのかも考えてみます。
池江璃花子が持つ日本記録は?【2026年現在】
池江璃花子選手は、2026年現在も個人種目・リレー種目で多数の日本記録を保持しています。
まずは、オリンピックなどでも使用される長水路(50mプール)の個人日本記録を見てみましょう。
| 種目 | 日本記録 | 樹立年 |
|---|---|---|
| 50m自由形 | 24秒21 | 2018年 |
| 100m自由形 | 52秒79 | 2018年 |
| 200m自由形 | 1分54秒85 | 2018年 |
| 50mバタフライ | 25秒11 | 2018年 |
| 100mバタフライ | 56秒08 | 2018年 |
※2026年9月時点。長水路の個人日本記録。
こうして並べると、ひとつ大きな特徴があります。
5つの日本記録が、すべて2018年に樹立されたものなのです。
池江選手は2000年7月生まれ。
つまり、これらの記録を出したのは17~18歳の頃でした。
さらに、50m・100mの自由形だけでなく、バタフライでも50m・100m、自由形では200mまで日本記録を保持。
2つの泳法、50mから200mまで幅広い種目で日本記録を残していることが分かります。
池江璃花子の日本記録はどのくらいすごい?
池江璃花子選手のすごさは、「日本記録をひとつ持っている」というレベルではありません。
象徴的なのが2018年の日本選手権です。
池江選手はこの大会で4種目を制し、優勝した4種目すべてで日本新記録を樹立しました。
その後も記録を更新し、2018年だけで現在まで残る5つの長水路日本記録を打ち立てています。
さらに同年のパンパシフィック選手権では、200m自由形で1分54秒85の日本新記録。
100mバタフライでは56秒08の日本新記録で優勝し、世界のトップ選手を相手に金メダルを獲得しました。
そして2018年アジア大会では、日本選手史上初となる6冠を達成。
大会MVPにも選ばれています。
つまり2018年の池江選手は、
日本記録を次々と更新しながら、国際大会でも世界・アジアのトップと戦っていた
ということになります。
しかも、そのときまだ18歳。
そして8年後の2026年になっても、当時の長水路5種目の記録は日本記録として残っています。
『情熱大陸』では「私は天才ではなかった」と語る池江選手。
しかし、数字をあらためて並べてみると、10代の頃に残した記録がいかに突出していたのかが分かります。
池江璃花子は世界記録を出したことがある?
これだけ多くの日本記録を持っていると、
「池江璃花子選手は世界記録も出したことがあるの?」
と気になる方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、池江選手はシニアの世界記録を樹立したことはありません。
しかし、ジュニア時代には世界の同世代で最も速い**「世界ジュニア記録」**を何度も樹立・更新しています。
17歳で世界ジュニア記録
特に印象的なのが、2017年にアメリカ・インディアナポリスで開催された世界ジュニア選手権です。
池江選手は50mバタフライ決勝で、
25秒46
をマーク。
当時17歳だった池江選手が打ち立てたこのタイムは、世界ジュニア新記録でした。
しかも25秒46は、同じ2017年に行われたシニアの世界選手権に当てはめても4位相当となるタイム。
ジュニアの中だけで速かったのではなく、17歳ですでにシニアを含めた世界トップクラスに迫っていました。
池江選手は自由形でも世界ジュニア記録を樹立。
さらに短水路でも世界ジュニア記録を更新するなど、10代の頃から世界の舞台で結果を残しています。
そして興味深いのは、世界ジュニア記録を出したところが池江選手のピークではなかったことです。
2017年の50mバタフライは25秒46。
翌2018年にはさらにタイムを縮め、現在も日本記録として残る25秒11をマークしました。
世界ジュニア記録を出した17歳から、さらに0秒35も速くなっていたのです。
池江璃花子の日本記録と世界記録の差は?
では、池江選手が持つ日本記録は、現在の世界記録と比べるとどのくらい違うのでしょうか。
長水路5種目を比較してみます。
| 種目 | 池江璃花子の 日本記録 | 樹立年 | 世界記録 | 樹立 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 50m自由形 | 24秒21 | 2018年 | 23秒55 | 2026年 グレッチェン・ウォルシュ | 0秒66 |
| 100m自由形 | 52秒79 | 2018年 | 51秒71 | 2017年 サラ・ショーストレム | 1秒08 |
| 200m自由形 | 1分54秒85 | 2018年 | 1分52秒23 | 2024年 アリアーン・ティトマス | 2秒62 |
| 50mバタフライ | 25秒11 | 2018年 | 24秒43 | 2014年 サラ・ショーストレム | 0秒68 |
| 100mバタフライ | 56秒08 | 2018年 | 54秒33 | 2026年 グレッチェン・ウォルシュ | 1秒75 |
※長水路(50mプール)、2026年9月時点。
特に差が小さいのが50m種目です。
50m自由形では0秒66、50mバタフライでは0秒68。
わずか24~25秒ほどで勝負が決まる競技で、池江選手は10代の頃に世界最高記録から1秒以内のところまで到達していました。
2018年当時は世界記録まで0秒60
もうひとつ注目したいのが、100mバタフライです。
池江選手の日本記録は、2018年に出した56秒08。
現在の世界記録54秒33と比べると1秒75の差があります。
しかし、2018年当時の世界記録はサラ・ショーストレム選手の55秒48でした。
つまり当時の池江選手は、
世界記録までわずか0秒60。
現在の世界記録とだけ比較すると世界との差が大きかったようにも見えますが、2018年当時は世界記録にかなり近いところまで迫っていたことが分かります。
その後8年間で、池江選手の日本記録が破られていない一方、世界ではさらに記録が更新されました。
池江選手の記録が高かったことと、その後の世界女子競泳がさらに高速化したこと。
現在の数字からは、その両方が見えてきます。
池江璃花子の2018年と現在のタイムを比較
では26歳となった現在の池江選手は、18歳の頃とどのくらいのタイム差があるのでしょうか。
2026年3月の日本選手権で出場した3種目について比較しました。
| 種目 | 2018年の日本記録 | 2026年日本選手権 | 差 |
|---|---|---|---|
| 50m自由形 | 24秒21 | 24秒89 | +0秒68 |
| 50mバタフライ | 25秒11 | 25秒55 | +0秒44 |
| 100mバタフライ | 56秒08 | 57秒49 | +1秒41 |
池江選手は2026年の日本選手権で、この3種目すべてで優勝しています。
つまり、現在も国内トップクラス。
それでも18歳の自分が残した日本記録には届いていません。
50mバタフライでは0秒44、50m自由形では0秒68、100mバタフライでは1秒41の差があります。
『情熱大陸』では、
「なんで頑張ってる人って、報われないんですかね?」
という池江選手の言葉も紹介されています。
誰よりも早くプールに入り、練習を続けても、かつての自分のタイムには届かない。
しかも、その「過去の自分」が今も日本記録保持者です。
26歳の池江選手が向き合っているのは、現在のライバルだけでなく、18歳の自分が残した非常に高い記録でもあるのかもしれません。
一方で、白血病の治療と長期間の競技離脱を経て、再びオリンピックに出場。
そして26歳となった現在も、日本選手権で3種目を制しています。
「自己ベストから遠ざかった」という数字だけで、現在の池江選手の競技力を評価することはできないでしょう。
理学療法士の視点|競泳の「0.5秒・1秒」はどのくらい大きい?
ここまでタイムを比較してきましたが、
「0.44秒なら、あと少しでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、競泳のトップレベルにおける0.5秒、1秒は決して小さな差ではありません。
50mの0.5秒は約1m進める時間
池江選手が持つ50mバタフライの日本記録は25秒11。
単純計算すると、50mを泳ぐ平均速度は秒速約1.99mです。
つまり、この平均速度なら0.5秒で約1m進む計算になります。
50m自由形の日本記録24秒21では平均秒速約2.07m。
こちらも0.5秒で約1mです。
もちろん実際の競泳では、スタート、入水、浮き上がり、ストローク、フィニッシュなどで速度が変化するため、
「0.5秒差=実際に1m離れてゴールする」
という意味ではありません。
それでもトップスイマーにとって、0.5秒が約1m進めるほどの時間だと考えると、その大きさをイメージしやすいのではないでしょうか。
0.5秒を縮めるのは「腕を速く回す」だけではない
理学療法士として競泳の動きを考えると、タイムを縮めるために必要なのは、単純に筋力を上げたり、腕を速く回したりすることだけではありません。
水中では、
- スタートで生み出す力
- 入水後の姿勢
- 水の抵抗を減らす身体のライン
- 肩・肩甲骨を含めた上肢の動き
- 体幹から四肢への力の伝達
- キックとストロークのタイミング
- 疲労してもフォームを維持する能力
など、さまざまな要素がタイムに影響します。
トップレベルの選手ほど、すでに動作やトレーニングは高い水準まで洗練されています。
そこからさらに0.1秒、0.2秒を削ることは、簡単ではありません。
18歳と26歳の身体を単純には比較できない
そして池江選手の場合、2018年と現在のタイムを考えるうえで忘れてはいけないのが、その間に白血病の治療と長期間の競技離脱を経験していることです。
また、病気の有無にかかわらず、18歳と26歳では身体の状態や競技環境も同じではありません。
そのため、タイムだけを比較して「以前より遅くなった」と単純に評価することはできないと考えます。
むしろ数字を見ていて感じるのは、2018年に残した日本記録の高さです。
26歳となった現在も国内トップクラスで戦う池江選手が、その記録を追い続けている。
一般的にはわずかに見える0.5秒、1秒の中に、トップアスリートにとっては非常に大きな差があるのだと思います。
池江璃花子は2026年アジア大会へ
26歳となった池江璃花子選手は、2026年9月に開催される愛知・名古屋2026アジア競技大会の日本代表として、再びアジアの舞台に挑みます。
池江選手にとって、アジア大会は特別な大会です。
2018年のジャカルタ大会では史上初の6冠を達成し、大会MVPにも選ばれました。
それから8年。
白血病の治療、競技復帰、東京五輪、パリ五輪を経て、再びアジア大会を迎えます。
2018年は「6冠を達成した18歳の池江璃花子」。
2026年は、さまざまな経験を重ねた26歳の池江璃花子として挑む大会です。
かつての自己ベストを超えられるかだけではなく、現在の池江選手がアジアのトップ選手を相手にどんな泳ぎを見せるのかにも注目したいですね。
※大会終了後、池江璃花子選手の結果・タイムを追記予定です。
まとめ|池江璃花子の日本記録は8年経った現在も残る
今回は、池江璃花子選手の日本記録はどのくらいすごいのか、世界記録との差や現在のタイムとあわせて紹介しました。
池江選手は2026年現在も、長水路の個人種目では自由形とバタフライの5種目で日本記録を保持しています。
しかも、そのすべてを17~18歳だった2018年に樹立。
ジュニア時代には世界ジュニア記録も樹立し、2018年の100mバタフライでは当時の世界記録までわずか0秒60に迫りました。
そして8年後の2026年。
かつての自己ベストには届いていないものの、日本選手権では3種目で優勝し、現在も国内トップクラスで泳ぎ続けています。
『情熱大陸』で語られる、
「私は天才ではなかった」
という言葉。
数字だけを見れば、18歳の池江選手が残した記録は圧倒的です。
しかし、その記録の背景には、才能という言葉だけでは表せない練習や努力があったのでしょう。
そして26歳となった今も、自分自身が残した高い記録と向き合いながら競技を続けています。
2026年9月には、再びアジア大会へ。
記録だけでは測れない8年間を経て、池江璃花子選手がどんな泳ぎを見せてくれるのか、これからの挑戦にも注目したいと思います。
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