『24時間テレビ49』の関西ローカル枠で紹介された、10歳のB-BOY(ブレイキンダンサー)・寺本晃晴(てらもと こうせい)くん。
生まれつき右脚の太ももから先がない「右大腿欠損」で生まれた晃晴くんは、現在B-BOY「ガゼラコウセイ」として、世界一を目指してブレイキンに取り組んでいます。
過去のダンス動画を見てみると、逆立ちやトーマス、ヘッドスピンなど、難易度の高い技にも次々と挑戦。
両側のロフストランド杖を取り入れたパフォーマンスも披露し、自分の身体を生かした唯一無二のブレイキンを作り上げています。
そして、理学療法士として特に気になったのが、
「晃晴くんは、片脚でどうやってこれだけダイナミックな回転や動きを生み出しているのだろう?」
ということ。
そこで今回は、寺本晃晴くんのプロフィールやブレイキンとの出会い、これまでの挑戦とともに、晃晴くんの身体能力や身体の使い方を理学療法士の視点から考察します。
【24時間テレビ】片足のB-BOY寺本晃晴くんのブレイキンがスゴイ!
寺本晃晴くんは、和歌山県在住の10歳のB-BOYです。
生まれつき右脚の太ももから先がない右大腿欠損で、日常生活では義足を使用しています。
晃晴くんがブレイキンと出会ったのは、約4年前。
義足メーカーから紹介されたダンス教室に通ったことをきっかけに、ブレイキンの世界に夢中になっていきました。
現在はレベルの高い仲間や指導者たちとともに、和歌山から大阪まで週4回練習に通っているといいます。
そして、晃晴くんが掲げる目標は、
「世界一」
です。
まだ10歳ですが、そのダンスを見てみると、逆立ちだけでなく、トーマスやヘッドスピンなどの大技にも挑戦。
ダイナミックなパワームーブを次々とつなぎ、一人のB-BOYとして存在感のあるパフォーマンスを見せています。
寺本晃晴くんの得意技は逆立ち!トーマスやヘッドスピンにも挑戦
晃晴くんは、逆立ちを得意としています。
さらに現在では、両手で身体を支持しながら脚を旋回させる大技**「トーマス」**も披露しています。
また、「片足では不可能」と言われてきたというヘッドスピンにも挑戦。
練習を重ね、実際のブレイキンの中にもヘッドスピンを取り入れています。
ただし、ここで注目したいのは、
「片脚だから下半身が軽く、回転技が簡単にできる」というわけではない
ということです。
晃晴くんがトーマスの練習を始めた頃の動画を見ると、何度挑戦しても左脚が床についてしまい、うまく回転できない姿も残されています。
そこから何度も何度も練習を繰り返し、現在のトーマスを身につけてきました。
現在のブレイキンを見ていると、生まれ持った身体能力の高さだけではなく、繰り返しの練習によって獲得してきた身体能力の大きさを感じます。
※ブレイキンのルールや基本的な技については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ロフストランド杖を使ったダンスもカッコいい!
そして、晃晴くんのブレイキンでもう一つ印象的なのが、両側のロフストランド杖を取り入れたパフォーマンスです。
杖で身体を支持しながら踊る一方、パワームーブに入るときには杖を放し、直接床に手をついて身体を回転させる場面もあります。
つまり、晃晴くんにとってロフストランド杖は、単に身体を支えるためだけのものではありません。
杖を使った動きも、杖を放して床へ移る動きも含めて、一連のブレイキンとして見せているところがとても印象的です。
この杖を使った身体表現については、後ほど理学療法士の視点からも考えてみます。
寺本晃晴くんのWiki風プロフィール|年齢・出身・所属・B-BOYネームは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 寺本晃晴(てらもと こうせい) |
| 年齢 | 10歳 |
| 出身・在住 | 和歌山県 |
| B-BOYネーム | ガゼラコウセイ |
| ジャンル | ブレイキン |
| ブレイキン歴 | 約4年 |
| 所属 | MORTAL COMBAT NEXT GENERATION/supernal NEXT(SD.LEAGUE所属チーム) |
| 目標 | 世界一 |
晃晴くんは、生まれつき右脚の太ももから先がない右大腿欠損で生まれました。
Instagramでは、生後2か月の頃に医師から、
「寝返り・お座り・ハイハイはおそらくできません。一生車椅子です」
と言われたことが紹介されています。
その後、義足で歩けるようになった晃晴くんは、ブレイキンと出会い、現在はB-BOY「ガゼラコウセイ」として活動しています。
ブレイキンでは、ART FUNK JAPANで優勝した経験も。
さらに現在は、MORTAL COMBAT NEXT GENERATIONや、SD.LEAGUEに参戦するsupernal NEXTでも活動しています。
supernal NEXTの公式プロフィールでは、晃晴くん自身の夢として、
「自分のパフォーマンスで世界中の人を笑顔にしたい!」
と紹介されています。
「世界一」を目指すことだけでなく、そのパフォーマンスで誰かを笑顔にしたい。
晃晴くんが目指しているB-BOYとしての姿も、とても素敵ですね。
寺本晃晴くんは身体をどう使っている?身体能力を理学療法士が考察
晃晴くんのブレイキンを何度も見ていて、理学療法士として特に目を引かれたのが、上肢と体幹の使い方です。
ブレイキンのパワームーブでは、脚の振り込みを骨盤や体幹の回旋へつなげ、さらに上肢で床を支持する力や重心移動などを組み合わせながら、ダイナミックな回転を生み出します。
しかし、生まれつき右脚の太ももから先がない晃晴くんは、両脚のあるB-BOYとまったく同じ方法で身体を使うことはできません。
では、どうやってあれだけの動きを生み出しているのでしょうか。
映像を繰り返し見てみると、晃晴くんは左脚だけで回転の勢いを作っているのではなく、上肢で身体を支持する力や体幹の動き、重心移動などを巧みに組み合わせながら、一つひとつの技を成立させているように見えました。
※ここからは公開されている映像から身体の使い方を観察した、理学療法士としての考察です。実際の筋力や身体機能、重心位置などを医学的に評価したものではありません。
上肢で身体を支えながら回転する力がスゴイ
特に印象的なのが、手で床を支持した状態でのパワームーブです。
晃晴くんは上肢で身体を支持しながら、身体を床から浮かせ、そこからダイナミックな回転へつなげています。
ここで必要なのは、単純な「腕力」だけではありません。
肩まわりや体幹を使って身体を支えながら、回転に合わせて重心を移動させ、さらに次の支持へ切り替えていく必要があります。
「身体を支える力」と「身体を動かす力」を同時にコントロールする能力が求められる動きです。
そして、何より興味深いのが、これが最初からできていたわけではないこと。
過去のトーマスの練習動画では、何度挑戦しても左脚が床についてしまう姿も残されています。
そこから何度も練習を重ね、現在の動きを獲得してきました。
身体能力の高さはもちろんですが、理学療法士としては、自分の身体で技を成立させる方法をトライ&エラーの中で身につけてきたことに、より驚かされます。
重心コントロールが難しいヘッドスピンは「技の連続」で魅せる
晃晴くんのブレイキンを見ていて、もう一つ印象に残ったのがヘッドスピンの見せ方です。
ヘッドスピンは頭部を支持点として身体を回転させる技です。
晃晴くんの場合、生まれつき左右の下肢の長さや重量配分が異なるため、回転時の重心やバランスも両脚のあるB-BOYとは異なると考えられます。
そのため理学療法士として見ると、晃晴くんにとってヘッドスピンは、身体的にもかなり難易度の高い技なのではないかと感じました。
現在公開されている映像では、ヘッドスピンそのものは比較的短い時間です。
しかし、私が「すごい」と感じたのはここから。
晃晴くんは、ヘッドスピンだけを単独で見せるのではなく、ほかの技からヘッドスピンへ入り、回転し、さらに次の技へとつなげています。
そのため、一つの技として見ると短いヘッドスピンも、一連のブレイキンとして見ると、ダイナミックな動きの一部としてしっかり映えています。
「今できる技を、できる方法で組み合わせて魅せる」。
そこにも、晃晴くんならではのオリジナリティを感じました。
ブレイキンは、一つの技を何回できるかだけではなく、どの技から入り、どうつなぎ、どう見せるのかも大切です。
晃晴くんは、自分の身体でできる動きを組み合わせることで、「ガゼラコウセイ」にしかできない一連のブレイキンを作り上げているように見えます。
ロフストランド杖を使うとフリーズがさらにダイナミックに
そして、身体機能とは少し違う視点で面白いのが、ロフストランド杖を使ったパフォーマンスです。
晃晴くんが両側のロフストランド杖で身体を支持すると、直接手を床につく場合よりも支持する位置が高くなります。
すると、身体全体が床から大きく持ち上がり、まるで身体をリフトしたような高さのあるフリーズになります。
これが、とても映えます。
さらに、杖を使った動きから杖を放し、そのまま床でのパワームーブへ移る場面もあります。
ロフストランド杖を単なる「身体を補うための道具」として見るのではなく、杖を使うからこそ生まれる高さやシルエットまで、晃晴くん自身のブレイキンの表現になっているように感じました。
寺本晃晴くんは何度も失敗しながら「自分の動き」を身につけた
現在の晃晴くんのダンスだけを見ると、
「もともとものすごく身体能力が高いからできるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、過去の練習動画を見ると、決して最初からすべての技ができていたわけではないことが分かります。
膝を守りながらできる「パワームーブ」と出会った
晃晴くんがパワームーブに力を入れるようになった背景には、身体のことを考えた大切な理由もありました。
2024年5月のInstagramでは、医師から将来のことを考えて、「一つしかない膝をダンスで使わないように」と伝えられていたことが紹介されています。
大好きなブレイキンを続けること自体、諦めなければならないのではないか――。
そんなふうに考え始めていた時期に出会ったのが、「POWER MOVE OSAKA」だったそうです。
そこで知ったのが、
パワームーブには、膝を使わなくてもできる技がある
ということ。
これは晃晴くんにとって、とても大きな出会いだったのではないでしょうか。
身体を守るために必要な制限を無視するのではなく、「できない動きがあるなら、自分にできる別の方法を探す」。
そこからウィンドミルなどを学び、さらにトーマスなどのパワームーブへと挑戦していきました。
2024年5月に参加したワークショップでは、講師から「こうせいだけのオリジナルウィンドミル」をさらに発展させるためのアドバイスを受けたこともInstagramで紹介されています。
一般的な技をそのまま再現するのではなく、自分の身体に合った技へ。
そうやって一つずつ「できること」を増やしてきたことが、現在の晃晴くんのブレイキンにつながっているのでしょう。
トーマスも最初からできたわけではなかった
晃晴くんは2024年4月から、技術を高めるため「POWER MOVE OSAKA」に通い始めました。
Instagramには、トーマスを練習し始めた頃の映像も残されています。
そこには、何度挑戦しても左脚が床についてしまい、なかなか回転を続けられない晃晴くんの姿がありました。
それでも、また挑戦。
失敗して、修正して、もう一度挑戦する。
その繰り返しによって、現在ではトーマスを自分の技として披露するまでになっています。
完成した技だけを見ると一瞬ですが、その動きを獲得するまでには、数え切れないほどの練習があったのでしょう。
「不可能」と言われたヘッドスピンにも挑戦
晃晴くんは、ヘッドスピンにも挑戦しています。
Instagramでは、「片足では不可能」と言われてきたヘッドスピンを夏のパワーキャンプで教えてもらい、その後も密かに練習を続け、1回転できるようになったことが紹介されていました。
もちろん、「努力すれば何でもできる」という単純な話ではありません。
身体には一人ひとり違いがあり、安全への配慮や専門家・指導者によるサポートが必要な場合もあります。
それでも、最初から「できない」と可能性を閉じるのではなく、
「自分の身体なら、どうすればできるだろう?」
と方法を探しながら挑戦する。
晃晴くんの姿を見ていると、その積み重ねが大きな力になっているように感じます。
繰り返しの練習で身につけた「自分の身体を操る力」
理学療法士としても、この練習過程はとても興味深く感じました。
人が新しい運動を覚えるとき、最初から思い通りに身体を動かせるわけではありません。
何度も動いて、失敗し、身体から得られる感覚をもとに動きを修正する。
そして再び挑戦する。
そうした反復を重ねることで、少しずつ効率的な身体の使い方を身につけていきます。
晃晴くんの場合、一般的なB-BOYの動きをそのまま真似するだけでは、自分の身体には合わないこともあるはずです。
だからこそ何度も練習しながら、
「寺本晃晴くんの身体で、この技を成立させるにはどう動けばいいのか」
を身体で学んできたのではないでしょうか。
それは単なる筋力や柔軟性だけでは測れない、晃晴くんの大きな「身体能力」の一つだと感じます。
寺本晃晴くんがブレイキンを始めたきっかけは?
晃晴くんがブレイキンを始めたのは、保育園の頃。
きっかけは、義足メーカーからダンス教室を紹介されたことでした。
そこで出会った先生から、自分の身体がブレイキンでは誰にも真似できない「個性」や「武器」になるという言葉をかけられたといいます。
そして晃晴くんはブレイキンに夢中になっていきました。
2022年には、先輩の義足ダンサーとともに出場した国内のダンス大会で優勝。
その後もさらに上を目指し、強豪チームのオーディションにも合格しました。
現在は和歌山から大阪まで週4回通い、世界一を目標に練習を続けています。
「片脚だからできない」ではなく、
「この身体だからこそ、どんなブレイキンができるだろう?」
晃晴くん自身も、周囲の指導者たちも、そんなふうに身体の可能性を広げてきたのかもしれません。
寺本晃晴くんの世界一への挑戦を支える家族・先生・仲間
10歳の晃晴くんが世界一を目指して練習を続けるためには、本人の努力だけでなく、周囲の支えも欠かせません。
現在は和歌山から大阪まで週4回練習に通い、世界大会優勝経験のある指導者や、日本トップクラスの仲間たちと一緒に腕を磨いています。
また、Instagramでは、晃晴くんは家族の応援が力になっていることも発信しています。
- 父:やりたいことはなんでも挑戦させてくれる。
- 兄:やりたいことに全力で死ぬ気でやれ!と背中を押してくれた。
- 兄嫁:優しく見守ってくれる。
- 姉:バトルに駆けつけて、誰よりも激アツな声援をくれる。
- 母:夢が叶うと信じてくれている。苦手な電車や車移動でいつも迷子になりながら連れて行ってくれるお母さん。
先生や先輩、仲間への感謝についても、たびたび発信している晃晴くん。
本人の「やりたい」という気持ちを中心に、家族や指導者、仲間たちが本気で挑戦できる環境を作っていることも、現在の晃晴くんにつながっているのでしょう。
寺本晃晴くんから感じた「ブレイキンが好き」という力
今回、理学療法士として晃晴くんの身体の使い方に興味を持ち、過去の練習動画もいくつも見てみました。
回転の仕方もすごい。
上半身の使い方もすごい。
10歳でトーマスやヘッドスピンに挑戦していることにも驚きました。
でも、動画を見れば見るほど、それ以上に伝わってきたことがあります。
それは、
「晃晴くんは、本当にブレイキンが好きなんだな」
ということです。
何度転んでも、また挑戦する。
できなかった技を繰り返し練習し、できるようになったら、さらに新しい技へ挑戦する。
そこには「頑張らなければ」というよりも、「もっと踊りたい」「もっと上手くなりたい」という気持ちがあるように感じました。
もちろん、好きだからといって、すべてのことができるようになるわけではありません。
それでも、さまざまなことを最初から「不可能」と決めつけず、自分にできる方法を探しながら挑戦し続けることは、本当に大きな力になるのだと、晃晴くんの姿を見て改めて感じました。
そして何より、好きなことに夢中になり、楽しそうに挑戦を続ける姿は、とても素敵ですね。
「世界一」という大きな目標を掲げる晃晴くん。
これからどんなB-BOYに成長していくのか、楽しみに応援したいと思います。
まとめ
今回は、『24時間テレビ49』で紹介された片足のB-BOY・寺本晃晴くんについて、ブレイキンの実力や身体の使い方を理学療法士の視点から考察しました。
晃晴くんは、生まれつき右脚の太ももから先がありません。
しかし、一般的なB-BOYと同じ身体の使い方を目指すのではなく、何度も何度も練習を重ねながら、自分の身体に合った動きを身につけてきました。
両側のロフストランド杖、手袋、素手を技によって使い分け、トーマスやヘッドスピンなどの大技にも挑戦。
その姿から感じるのは、「片脚でもここまでできる」ということ以上に、寺本晃晴くんにしかできないブレイキンを作り上げているすごさです。
そして、身体能力以上に印象に残ったのが、晃晴くんの**「ブレイキンが好き」という気持ち**でした。
好きだから挑戦する。
失敗してもまた練習する。
そして少しずつ、自分にできることを増やしていく。
世界一を目指す10歳のB-BOY・寺本晃晴くんが、これからどんなダンスを見せてくれるのか楽しみですね。
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