2026年の『24時間テレビ』スペシャルドラマでは、音楽プロデューサー・つんく♂さんと、その妻・出光加奈子さんの実話をもとにした物語が描かれます。
つんく♂さんを演じるのは高橋光臣さん、妻・加奈子さんを演じるのは北川景子さんです。
つんく♂さんといえば、シャ乱Qのボーカルとして「シングルベッド」「ズルい女」など数々のヒット曲を歌ってきた方。
そんな「歌うこと」を仕事としてきたつんく♂さんは、2014年に喉頭がんを発症。その後、声帯を全摘出し、声を失うという大きな決断をしています。
なぜ、つんく♂さんは声を失うことになったのでしょうか。
この記事では、喉頭がんが発覚してから声帯摘出に至るまでの経緯や、妻・加奈子さんと家族について紹介します。
また後半では、理学療法士として身体に関わる仕事をしてきたこと、そして私自身も過去にがんを経験した一人として、今回のドラマについて感じることを書いてみたいと思います。
つんく♂は何の病気?喉頭声帯がんを発症
つんく♂さんが患った病気は、喉頭がん(喉頭声帯がん)です。
2014年3月6日、つんく♂さん自身が公式ブログで、喉頭声帯にがんが見つかったことを公表しました。
実は突然症状が現れたわけではなく、7~8年ほど前から左側の声帯に違和感があり、ファルセットなどが出しにくい状態が続いていたそうです。
それでも仕事を続けていましたが、2013年10月ごろからさらに声がハスキーになり、声そのものが出しにくくなったといいます。
そして2014年2月、全身麻酔による手術を受け、細胞を検査。
その結果、喉頭声帯にがんが見つかりました。
当時、つんく♂さんは早期のがんであることを明かし、
「まさか自分が」
と驚いたことも綴っています。
シャ乱Qのボーカルとして長年「声」を使い続けてきたつんく♂さん。
声の異変から、まさかがんが見つかるとは、ご本人にとっても大きな衝撃だったことがうかがえます。
放射線治療と分子標的薬による治療を受け、一度は「完全寛解」
がんが見つかった後、つんく♂さんは根治を目指して治療を開始します。
本人が2014年9月に公表した内容によると、行われたのは放射線治療と分子標的薬による化学療法を併用する治療でした。
約2か月間の集中的な治療を経て、その後も医師の指導のもとで経過観察を続けます。
そして治療から6か月後。
検査の結果、医師から「癌は完全寛解しました」と告げられたことを報告しています。
この時点では体調もよく、今後は自身の経験を生かしながら仕事をしていきたいという前向きな思いも語っていました。
一方、声についてはまだ本調子ではなく、歌えるようになるまでには時間がかかるかもしれない、とも綴っています。
しかし、つんく♂さんの闘病は、ここでは終わりませんでした。
つんく♂はなぜ声を失った?声帯全摘出までの経緯
一度は「完全寛解」と報告されたつんく♂さんでしたが、その後、再びがんが見つかります。
そして命を守るために選択したのが、声帯を含む喉頭の全摘出でした。
歌手にとって「声を失う」ということ。
もちろん、歌えなくなるというだけではありません。
私たちは普段、誰かを呼ぶ、家族と話す、「おはよう」と声をかけるなど、声を出すことを当たり前のように行っています。
理学療法士として身体に関わる仕事をしてきた立場から考えても、これまで当たり前にできていた身体機能を失い、新しい方法で日常生活を組み立て直していくことは、非常に大きな変化です。
ましてや、つんく♂さんにとって「声」は日常生活の手段であるだけでなく、歌手として人生を歩んできた大切なものでもありました。
その決断がどれほど大きなものだったのか。
本人以外が簡単に言葉にできるものではないように思います。
「声を捨て、生きることを選びました」
2015年4月、母校・近畿大学の入学式をプロデュースしたつんく♂さんは、声帯を摘出したことを公表しました。
その際に伝えられたのが、
「一番大事にしてきた声を捨て、生きることを選びました」
という言葉です。
シャ乱Qのボーカリストとして、たくさんの人に歌を届けてきたつんく♂さん。
その人が「声」と「生きること」の選択を迫られ、後者を選んだ。
現在のつんく♂さんの笑顔を見ているだけでは、その背景にこれほど大きな決断があったことを忘れてしまいそうになります。
声帯を失ったつんく♂は現在どうやって話している?
喉頭を全摘出すると、それまでと同じ方法で声を出すことはできなくなります。
つんく♂さんは声帯摘出後、新しい発声方法を身につけるためのリハビリにも取り組んできました。
その一つが食道発声です。

食道発声は、口などから取り込んだ空気を利用して食道の入り口付近を振動させ、音を作る方法です。
声帯による発声とは仕組みそのものが異なるため、習得には練習が必要になります。
つんく♂さんは、筆談やパソコンなども活用しながらコミュニケーションを取り、現在も音楽プロデューサーとして精力的に活動しています。
「声を失った」ことは、決して「伝えることを失った」という意味ではありません。
むしろ、声とは違う方法でも音楽や言葉を届け続けている姿が印象的です。
つんく♂を支えた妻・加奈子さんと3人の子ども
つんく♂さんには、妻・出光加奈子さんと3人の子どもがいます。
今回の『24時間テレビ』スペシャルドラマで描かれるのも、単につんく♂さんが喉頭がんを患い、声を失うまでの「闘病記」ではありません。
物語の中心にいるのは、そのすぐそばにいた妻・加奈子さんです。
夫ががんになったこと。
一度は完全寛解したこと。
そして再び病気と向き合い、「声を失う」という大きな決断をすること。
その一つひとつの出来事のそばには、妻や子どもたちがいました。
病気になるのは本人ですが、大きな病気は家族の生活や未来にも大きな影響を与えます。
だからこそ今回、つんく♂さん本人ではなく、妻・加奈子さんの視点からこの時間を描くことに意味があるのかもしれません。
※出光加奈子さんの経歴や、つんく♂さんとの馴れ初めについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【24時間テレビ】高橋光臣がつんく♂役|「健康」と「家族」への思い
『24時間テレビ』でつんく♂さんを演じるのは、俳優の高橋光臣さんです。
高橋さん自身も3人の子どもを育てる父親。
今回の出演にあたり、「家族」は自身にとっても今を生きるテーマだと語っています。
また、身体を休めることや病院できちんと検査を受けることなど、「健康」の大切さについてもコメント。
ドラマを通して、つんく♂さん夫妻が伝えたい「自分の体を大切にしてほしい」という思いを届けたいと話しています。
さらに高橋さんは大阪府出身で、中学生時代にはシャ乱Qの「ズルい女」のイントロをサックスで吹きたくて、吹奏楽部に仮入部したこともあったのだとか。
つんく♂さん役を演じることになったのも、不思議な縁を感じますね。
※高橋光臣さんの歌唱力や、DAIGOさんとの歌唱レッスンについてはこちらの記事で紹介しています。
▶あわせて読みたい!
【24時間テレビ】つんく役・高橋光臣は歌が上手い!DAIGOが歌唱レッスン・歌唱力を調査👇
がんは本人だけの物語ではない|自身の経験から感じたこと
ここからは少し、私自身の経験を書かせてください。
私自身も過去に舌がんを経験しています。
ただし、私の場合は舌の表面を3mmほど切除し、人工皮膚を貼り付ける手術でした。
その後、少し話しにくさを感じたり、転移への不安を抱えたりしたものの、歌手として生きてきたつんく♂さんが声帯そのものを失った経験とは、到底並べて語れるものではありません。
それでも、自分の経験を振り返ったとき、今でも強く覚えていることがあります。
当時、私の子どもはまだ1歳でした。
「おそらくがんだろう」という状態で手術を受け、切除した組織を病理検査へ。
私の場合、手術を受けること自体よりも、結果が出るまでの時間がとてもつらかったことを覚えています。
「もし、ものすごく悪いものだったらどうしよう」
そう考えたとき、その先に浮かんだのは、自分自身のこと以上に家族のことでした。
退院後、病理検査の結果は悪性。
ただ、切除した部分の断端にはがん細胞が確認されず、すべて切除できたと説明を受けました。
そこから私は、日常生活へ戻ることができました。
だからといって、つんく♂さんやご家族の気持ちが「分かる」とは思いません。
声を使うことを仕事としてきた人が声帯を失うこと。
そして、その決断をそばで見守る家族。
その壮絶さは、本人や家族にしか分からないものだと思います。
ただ、自分自身が「がんかもしれない」という時間を経験したからこそ、今回のドラマが妻・加奈子さんから見た「家族の物語」として描かれることには、強く感じるものがあります。
がんになるのは一人でも、その瞬間から、それは家族にとっての出来事にもなる。
つんく♂さんが大きな決断をするまでに、夫婦でどんな言葉を交わし、家族でどんな時間を過ごしたのでしょうか。
現在、笑顔で活動を続けているつんく♂さんの姿に至るまでの時間を、今回のドラマでは加奈子さんの目線を通して見ることになるのかもしれません。
まとめ|声を失っても家族と歩み続けるつんく♂
今回は、『24時間テレビ』スペシャルドラマで描かれるつんく♂さんについて、喉頭がんの発覚から声帯を全摘出するまでの経緯、そして妻・加奈子さんや家族について紹介しました。
私自身、シャ乱Qが流行していた頃はちょうど高校生から大学生くらい。
「ズルい女」などの曲を聴き、つんく♂さんの歌い方を真似していたことまで思い出します(笑)。
それだけに、あの独特の歌声を持っていたつんく♂さんが、その後「声を捨て、生きることを選ぶ」という決断をしたことの重さを、改めて感じます。
しかし、壮絶な経験をしたつんく♂さんは、現在も音楽を作り、家族と暮らし、笑顔で活動を続けています。
その笑顔に至るまでには、私たちが外から見ているだけでは分からない葛藤や、夫婦・家族の時間があったはずです。
今回の『24時間テレビ』で描かれるのは、「声を失ったつんく♂さん」の物語だけではなく、その隣で一緒に人生を歩んできた妻・加奈子さんと家族の物語。
ドラマを通して、つんく♂さん一家が歩んできた時間を見届けたいと思います。
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