2026年放送の『ドキュメント72時間』では、香川県にある「古代サウナ」が紹介されました。
番組を見て、
「あのサウナはどこにあるの?」
「なぜあんなに熱い場所に何度も入るの?」
「行基ゆかりってどういう意味?」
「冷えや疲れが楽になるって本当?」
と気になった方も多いのではないでしょうか。
実は、この「から風呂」は、サウナブームよりはるか昔から日本で親しまれてきた温浴文化のひとつです。
大学で比較文化を学び、現在は理学療法士として働く私も、「行基」という名前に思わず興味を惹かれました。
今回は、番組で紹介された「から風呂」の場所や歴史、そして身体が温まる理由について、理学療法士の視点から分かりやすく解説します。
ドキュメント72時間で紹介された古代サウナ(から風呂)はどこ?
番組で紹介されたのは、香川県讃岐市に残る伝統的な「から風呂」です。
「塚原から風呂」という名前で、熱い方とぬるい方があることで知られています。
現在人気のフィンランド式サウナとは異なり、石を熱して室内を高温に保つ、日本古来の蒸し風呂文化として知られています。
その歴史は1000年以上ともいわれ、多くの人が「身体が軽くなる」「汗をたくさんかける」と足を運んでいます。
店舗情報
- 施設名:塚原から風呂
- サウナの種類:蒸し風呂
- 温度:ぬるい方℃・熱い方130℃
- 水風呂:なし
- 休憩スペース:館内にあり
- 持ち物:蒸し風呂の中で着る服・着替え、水分、タオル等
- 注意事項(HPより抜粋):
★次のような症状のある方は注意し、入浴をご遠慮ください。- 重度の高血圧、動脈硬化、重症の糖尿病、心臓疾患、重度の貧血症
- 飲酒による入浴は禁止します。
10人くらいまでは同時に入れるようです。
服は着たまま、頭まで毛布をかぶって入ります。
熱から体を守るためだそうです。
- 住所:さぬき市昭和1050-4
- 営業日:毎週 木・金・土・日の4日間
- 休館日:休館日 毎週月・火・水・年末年始
- 営業時間:12:00~21:00
- 電話番号:
0879-52-1202(から風呂)
0879-26-9904(長寿介護課) - 利用料金:700円
- 予約:不要
- 公式サイト:https://karaburo0.webnode.jp/
- アクセス:琴電長尾駅から車で約5分
1300年続く行基ゆかりの「から風呂」とは?
「行基」とは奈良時代に活躍した僧侶です。
行基がいたのは 668年〜749年 ですで、現在(2026年)から約1278年〜1358年前に生きていた人物となります。
橋や池などの社会事業を行い、人々の暮らしを支えた人物として知られています。
各地には行基が開いたと伝わる温浴施設や温泉も残っており、「から風呂」もその一つと伝えられています。
この風呂は約1300年の昔、奈良時代の高僧行基が讃岐に来た時に、庶民の病気を治すために造られたといわれています。
江戸時代末期(嘉永6年)に作られた『讃岐国名勝図絵』には、「塚原温室」として紹介され、「病に効あり、多くの人が入室する」と記されています。当時は武士をはじめ、多くの人々が利用していたことが分かっています。
利用者の増加に伴い、明治44年には同じ造りの「から風呂」がもう1か所増設されました。
その後、昭和から平成にかけて一時休止となりましたが、平成20年に地元有志による「から風呂保存会」が結成され、現在も地域の人々によって大切に守り続けられています。
日本では昔から、お風呂は身体を清潔にするだけでなく、健康を保つための養生法としても大切にされてきました。
現代ではサウナブームとして親しまれていますが、「身体を整える」という考え方は1300年前から受け継がれてきた文化なのかもしれません。
放送では、窯をどうやって熱くしているのかも紹介されました。
窯の中に薪を並べ、火をつけて、熱くなった石からの熱でサウナになるそうです。
熱の残り方で「あつい方」と「ぬるい方」ができるとのことでした。
利用者の声や様子は?
「ととのう」「脳みそが茹で上がる感じ」と言って、好んで「灼熱のから風呂」を利用する男性客。
中には上半身裸で入る方もいて、ほかの方からは「仙人やね、ああなったら」とも言われていました。
ディレクターの方が挑戦すると、わずか3分で出てこられました。
みなさん汗だくで出たり入ったりされていました。
慣れると病みつきになるそうです。
「熱がガッと入ってくる感じ」「悪いものが全部出ていく感じ」とも言われていました。
中には制服姿の女子学生も。
「流行に乗れないから」と笑っていました。
ぬるい方で、2人の女子高生たちは試験勉強の問題を出し合いながらサウナで汗を流すそうです。
この二人のうち一人はもうすぐ留学で、離れてしまうことが寂しいと感じながらも、日々一緒に過ごして、留学から戻る1年後も、その先もずっと続くであろう友情を大切に育んでいるように見えました。
そして、お遍路を目的とした外国人観光客の姿も。
お店の使い方などを説明するのに、お客さんも通訳を手伝ったりしながら交流する様子も見られました。
会社を辞めて自営業になった方は、「生きる」という言葉しか頭に浮かばないほどの熱さのから風呂を何度も入っては出て、涼んでは入って、を繰り返されていました。
心に蓄積されたものを「熱」の中でリセットして、帰り道には「めっちゃ仕事できそう、今から」とも語られていました。
「冷えを治そうと思って。調子いいです。風邪もひかない」という、農業をしている69歳の女性は、30年以上通っていると言われていました。
どの方も、から風呂に入ることで、自分自身と「向き合う」時間にもなっているかのようでした。
理学療法士の視点|古代サウナで「冷えが改善する」と言われる理由は?
番組では、多くの人が灼熱の「から風呂」を利用し、「冷えが改善する」「身体が軽くなった」「また来たくなる」と話していました。
では、サウナや「から風呂」でよく聞く「ととのう」とは、身体の中で何が起きているのでしょうか。
自律神経が「整う」と言われる理由
サウナで「自律神経が整う」と言われる理由の一つは、交感神経と副交感神経が大きく切り替わることにあります。
自律神経とは、呼吸や心拍、血圧、体温などを自動的にコントロールする神経のことです。
まず、高温のサウナでは身体に強い熱刺激が加わります。
身体は熱から身を守ろうとして心拍数を上げ、交感神経(活動モード)が優位になります。
その後、水風呂や外気浴で身体を休めることで、今度は副交感神経(リラックスモード)が働きやすくなります。
このように、自律神経がメリハリよく切り替わることで、循環がよくなり、「頭がスッキリした」「リラックスできた」と感じる人が多いと考えられています。
理学療法士の視点では、自律神経が「強くなる」というよりも、切り替えがスムーズになることでコンディションが整いやすくなる可能性がある、と考える方が適切でしょう。
冷えへの影響は?
サウナには、一時的に血流を促す作用が期待できます。
熱によって血管が広がることで全身へ血液が流れやすくなり、身体が温まります。
また、温かい環境と冷たい環境を繰り返すことで、血管運動機能も刺激されます。
血管運動機能とは、血管が伸びたり縮んだりして体温を調節する働きのことです。
この働きが繰り返し使われることで、寒暖差に対応しやすい身体づくりにつながる可能性があります。
ただし、「サウナに入れば冷え性が治る」と断言できるわけではありません。
冷えには、
- 筋肉量の低下
- 基礎代謝の低下
- 運動不足
- 貧血
- 自律神経の乱れ
など、さまざまな原因があります。
サウナは血流改善やリフレッシュには役立つ可能性がありますが、筋肉量そのものを増やすわけではないため、根本的な改善には日頃の運動や生活習慣も大切です。
理学療法士として気を付けたいポイント
サウナはすべての人に適しているわけではありません。
高温環境では血圧や心拍数が大きく変化するため、高血圧や心疾患のある方は注意が必要です。
また、大量の汗をかくことで脱水や電解質バランスの乱れを起こし、筋肉がつりやすくなることもあります。
さらに、疲労が強い状態や体調が優れない時は、熱刺激そのものが身体への負担になることもあります。
サウナや「から風呂」は、あくまでも身体を整えるためのコンディショニングの一つとして楽しみ、水分補給を十分に行いながら、自分の体調に合わせて利用することが大切です。
理学療法士の視点|サウナの後は軽い運動もおすすめ
リハビリの現場でも、「身体を温めた後」は筋肉が動かしやすくなることがあります。
サウナ後には無理のない範囲で、
- ふくらはぎのストレッチ
- 股関節をゆっくり動かす運動
- 軽いウォーキング
などを取り入れると、温まった身体をより有効に使いやすくなります。
もちろん、水分補給を十分に行い、体調に合わせて利用することが大切です。
まとめ
『ドキュメント72時間』で紹介された灼熱の「から風呂」は、単なるサウナではなく、日本に古くから伝わる温浴文化でした。
奈良時代の僧・行基ゆかりと伝わる歴史を知ると、「身体を整える」という考え方は昔も今も変わらないことに気付かされます。
理学療法士の視点から見ても、サウナは血流やリラックスに役立つ可能性があります。
番組をきっかけに、日本の伝統文化と身体の仕組みの両方に興味を持つ人が増えると素敵ですね。

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