ツボの正体とは?
「ツボ」という言葉はよく耳にしますが、実際にはどのような場所なのでしょうか。
ツボの「正体」は「不調に応じて体の表面に炎症が起きる場所」
トリセツショーでは、ツボは「不調に応じて体の表面に炎症が起きる場所」だったと紹介されました。
韓国・韓医学研究院の研究では、マウスの実験で、高血圧を起こしている/大腸炎を起こしているマウスに、炎症に反応する薬品を注射すると、なぜか内臓と遠く離れた足の表面に炎症が起きていることが判りました。
そして、その炎症点を人間の手にあるツボと比較すると、そのマウスの炎症点はツボとほぼ同じ位置にあることが分かったのです。
「脳の勘違い」からツボは生まれた?!
なぜ不調が起きている体の部分から遠く離れた手足にツボ(炎症)が生まれるのか。
それは、脳の勘違いから生まれると、トリセツショーでは紹介されました。
- ツボが生まれるメカニズムを考えると、神経は体中に張り巡らされているが、脊髄ではさまざまな神経が重なり合って存在する。
- この状態がある「エラー」を引き起こしてしまうと考えられている。
- 例:腸の神経は、足のツボの神経と同じ場所から脊髄に入る。
このとき、腸が「調子が悪い」と信号を送ると、「足も調子が悪い」と勘違いしてしまう。 - 脳は腸に炎症を起こす信号を送り返すことで血行を良くし、不調を改善しようとするが、このとき足にも同様の信号を送ってしまう。
- これにより、腸だけでなく、足の表面にも炎症が起こる。
※ 他にもツボができるメカニズムは多く考えられています。
※ すべてのツボがこのメカニズムでできているわけではありません。
脳の「勘違い」という例え、理学療法士の私としてとても分かりやすい例えだと感じました。
ツボはなぜ効くのか?
ツボが効く理由については、現在もさまざまな研究が行われ、様々なメカニズムがあると考えられていますが、明らかになってきている代表的なものの一つが、血流アップによるものです。
血流アップや脳への作用が期待される
トリセツショーでは、ツボへの刺激によって脳の血流や神経活動に変化が起こることが紹介されました。
例えば「合谷」のツボは、頭痛や血圧に降下があるとされていますが、実際に刺激したときには脳血流が増加しているMRI画像が紹介されました。
また、このとき、脳内で鎮静物質「オピオイド」が分泌され、痛みを和らげることが分かっているとも紹介されました。
理学療法士が感じた東洋医学と西洋医学の共通点
理学療法士として興味深いのは、今回紹介されたツボの多くが筋肉や筋膜の境界部分、あるいは神経や血管が通る場所と重なっていることです。
例えば肩井は僧帽筋や肩甲挙筋の緊張と関係し、委中はハムストリングスや筋膜のつながり(バックライン)と深く関係しています。
肩井を刺激したときの筋膜では、コリの原因となる「筋膜のシワ」が伸びる状態を超音波の映像で見ることができました。
東洋医学と西洋医学では説明の仕方は異なりますが、「体の反応が起こりやすいポイント」という意味では共通している部分も多いのかもしれません。
なぜ「痛くないとき」もツボを押すとより効果が期待できるのか?
トリセツショーで説明された内容として、痛みがない時にツボを押すと、より効果が期待できる理由は、以下の通りです。
脳は「安全」を学習する
- 「痛みがあるとき、脳が勘違いしてツボにも炎症を起こす」作用がある(前述)。
- 「痛くない時」からツボを押すことで、変化が起きるのが「脳」
- 慢性的な痛みを抱えている人の脳は、普段から痛みを感じやすい興奮状態で、刺激に敏感。
- そこへ、痛くない時からツボへ繰り返し刺激を続けると、「刺激があっても安全だ」と脳が学習し、興奮が鎮まるように神経の働きが変化する。
片頭痛研究で分かったこと
実際に8週間鍼刺激を行った片頭痛患者20名の脳を調べた研究では、神経の働きが変化した場所があり、多くが痛みに関わる部分であることが分かっったそうです。
痛みに敏感だった状態から、痛みが制御された状態に変化した可能性を示していると考察されています。
トリセツショーでツボについて教えてくださった先生方
今回のトリセツショーでは、鍼灸学や東洋医学の専門家の先生方が出演し、ツボの位置や押し方、期待できる効果について解説されました。
- 安野登美子 氏(東京有明医療大学 教授・鍼灸師)
- 美容鍼灸の考え方やセルフケアのポイントについて説明
- 番組では基本の4つのツボに加え、さらに8つのツボを追加し美容のツボ完全版として紹介。
- 伊藤和憲 氏(明治国際医療大学 教授)
- 「ツボは体の鏡」であり、ツボを押すだけで体の不調が分かる可能性について説明。
- 番組では手と足のツボだけを確認して、腰痛やむくみ、下腹部の不調を当てるという技術を披露されました。
- トリセツ流”整い”ツボの紹介(目覚め:合谷・集中力UP:百会・快眠:内関)。
- セルフケアに最適なツボ(疲労・腰痛・肩こり・ストレス・冷え性)を紹介。
また番組では、最新の研究をもとにツボが脳や身体に与える影響についても紹介されていました。
長年受け継がれてきた東洋医学の知見と、最新の科学的研究の両面からツボを解説していた点が、今回の放送の大きな特徴だったように感じます。
片頭痛にまで効いた理由を理学療法士が考察
今回の放送では、もともと頭痛を目的として紹介されていなかったツボを続けていたところ、片頭痛やめまいの症状が大きく改善したという体験談が紹介されました。
理学療法士の視点で考えると、その理由のひとつは「首・肩・頭皮の緊張の改善」にあるのではないかと感じています。
例えば、今回紹介された風池や完骨、百会などのツボは、首の後ろの筋肉や頭皮を覆う帽状腱膜と深く関係しています。
肩こりや首こりが強い状態では、後頭部やこめかみ周辺の筋肉が過剰に緊張し、頭痛を誘発することがあります。
ツボ押しによって筋肉や筋膜の緊張がやわらぎ、血流や循環が改善されることで、結果的に頭痛が軽減した可能性も考えられます。
もちろん片頭痛にはさまざまな原因があり、ツボ押しだけで改善するとは言えません。しかし、首・肩・頭皮のセルフケアを続けたことが、今回の体験談につながった可能性は十分にあるのではないでしょうか。
理学療法士としては首・肩・頭皮の緊張改善が頭痛軽減につながった可能性をまず考えます。
しかし今回の放送では、それに加えて「脳の学習」という新たな視点が示されていました。
番組では、ツボへの刺激を痛みがないときから継続することで、脳が「この刺激は安全だ」と再学習し、痛みに対する過敏な反応が落ち着いていく可能性が紹介されていました。
理学療法士として普段は筋肉や神経、姿勢との関係から考えることが多いのですが、東洋医学で昔から行われてきたツボ刺激が、近年の脳科学によって説明され始めていることに大きな興味を持ちました。
東洋医学と西洋医学は異なる考え方から発展してきましたが、最終的には同じ人間の身体を見ているという点で共通しています。
今回の放送を通して、ツボという伝統的な知恵と最新の脳科学が少しずつ結びついていることを実感し、とても興味深く感じました。
まとめ
2026年6月4日の『あしたが変わるトリセツショー』では、リフトアップ・肩こり・腰痛・ストレス・冷え性など、さまざまな悩みに役立つツボが紹介されました。
この記事では、理学療法士の視点からツボの探し方や押し方のコツ、そして体との関係について解説しました。
ツボ押しは特別な道具がなくても自宅でできるセルフケアのひとつです。
大切なのは、一度だけではなく、無理のない範囲で継続すること。
ぜひ今回紹介されたツボを試しながら、自分の体の変化を観察してみてくださいね。
放送後は、番組で紹介された最新情報や片頭痛に関する内容も追記していきます。


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