【PT解説】メッシはなぜ歩いても勝てる?40歳目前でも最高峰であり続ける身体と脳の使い方

アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手が試合中にプレーする様子。40歳目前でも世界最高峰のパフォーマンスを維持する理由を理学療法士の視点で解説する記事のアイキャッチ画像。 エンタメ・トレンド
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2026年FIFAワールドカップでも世界中を魅了し続けるリオネル・メッシ選手。

「以前より歩いている時間が増えた」と言われる一方で、試合を決定づけるプレーは今なお世界最高峰です。

一般的にアスリートは30代半ばを過ぎると、筋力や瞬発力、持久力など身体能力の低下が避けられません。それにもかかわらず、40歳目前のメッシ選手がトップレベルで活躍し続けられるのはなぜなのでしょうか。

この記事では、理学療法士の視点から、メッシ選手の「歩いているように見えて勝てる理由」を、身体の使い方やエネルギー戦略、脳の働きに注目しながら解説します。

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メッシはなぜ40歳目前でも世界最高峰なのか?

年齢とともに身体にはさまざまな変化が起こります。

例えば、

  • 最大筋力の低下
  • 瞬発力の低下
  • 最大酸素摂取量(VO₂max)の低下
  • 回復速度の低下

などは、多くのトップアスリートにも共通して起こる生理的変化です。

しかしメッシ選手は、こうした加齢による変化を「若い頃と同じ身体能力」で乗り越えているわけではありません。

むしろ、年齢に合わせてプレースタイルそのものを進化させてきたことが、長く世界トップで活躍できる理由だと考えられます。

メッシが「歩いている」のに勝てる理由

試合を見ていると、メッシ選手は歩いている時間が意外なほど長いことに気付きます。

これは決して休んでいるわけではありません。

理学療法士の視点では、非常に合理的な「エネルギーマネジメント」と考えられます。

人間の身体は運動強度によって使うエネルギーシステムが変化します。

軽い歩行やジョギングでは主に有酸素運動が中心となり、比較的長時間活動できます。

一方、ドリブル突破やスプリント、急加速ではATP-CP系(非乳酸系)という爆発的な無酸素エネルギーを利用します。

メッシ選手は試合中、必要以上に走り回らず、体力や筋グリコーゲンを温存しています。

そして「ここしかない」という瞬間だけ一気に加速し、相手を置き去りにします。

若い頃のように90分間走り続けるのではなく、必要な場面だけ最大出力を発揮する。

この”省エネ戦略”こそ、ベテランとなったメッシ選手の大きな武器と言えるでしょう。

ただし、ここで大切なのは、「省エネだから強い」というわけではないという点です。

メッシ選手は、少ないプレー機会でも決定的なパスやドリブル、シュートにつなげられる圧倒的な技術を持っています。
だからこそ、無理に走り回らなくても試合を決定づけることができ、省エネ戦術が成立するのです。

理学療法士の視点で言えば、「動く量」を減らしているのではなく、「1回1回の動きの質」を極限まで高めている選手と言えるでしょう。

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歩きながら情報を集める「予測能力」が桁違い

もう一つ驚くべきなのが、メッシ選手の予測能力です。

歩いている時間も、実際には何もしていないわけではありません。

味方や相手選手の位置、守備ライン、スペースの変化などを常に観察しています。

理学療法では、運動を開始する前にあらかじめ動きを準備する考え方を「フィードフォワード制御」と呼びます。

相手が動いてから反応するのではなく、

「次はここにボールが来る」

「DFは次にこちらへ寄ってくる」

という未来を予測し、先に身体を準備しているのです。

そのため、純粋な走力では若い選手が勝っていても、動き始めではメッシ選手の方が速く見える場面が少なくありません。

身体能力だけでは説明できない「脳の速さ」が、世界最高峰のプレーを支えています。

小さな動きでも正確なキックができる理由

メッシ選手は大きく助走を取らなくても、驚くほど正確なパスやシュートを繰り出します。

その秘密の一つが「運動連鎖(キネティックチェーン)」です。

キックは足だけで行う動作ではありません。

股関節から骨盤、体幹、胸郭、そして足先まで力がスムーズに伝わることで、高い精度が生まれます。

また、軸足の安定性と股関節・胸椎の柔軟性も非常に重要です。

メッシ選手は必要以上に力まず、身体全体を連動させることで、最小限の力で最大限のボールコントロールを実現しています。

理学療法でも、効率よく身体を使うためには筋力だけでなく「連動性」を重視します。

メッシ選手のプレーは、その理想形の一つと言えるでしょう。

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メッシが教えてくれる「年齢に合わせた身体の使い方」

メッシ選手のプレーを見ると、「年齢を重ねる=衰えるだけではない」ということを教えられます。

もちろん筋力や持久力の変化は避けられません。

しかし、

  • エネルギーを無駄に使わない
  • 状況を先読みする
  • 効率よく身体を連動させる

といった工夫によって、年齢を重ねても高いパフォーマンスを維持できる可能性があります。

これはスポーツ選手だけでなく、一般の方の健康づくりや運動習慣にも通じる考え方です。

理学療法でも、「若い頃と同じことをする」のではなく、「今の身体に合った使い方」を身につけることを大切にしています。

まとめ

40歳目前となったメッシ選手が世界最高峰で活躍し続ける理由は、単なる才能だけではありません。

年齢による身体の変化を受け入れながら、

  • 必要な場面だけ力を使うエネルギーマネジメント
  • 歩きながら未来を読む優れた予測能力
  • 全身を効率よく連動させる身体の使い方

といった”進化”を続けていることが、大きな理由だと考えられます。

私たちはメッシ選手のようなプレーはできなくても、「今の自分の身体を理解し、効率よく使う」という考え方は日常生活やスポーツにも十分応用できます。

世界最高の選手から学べることは、ゴールシーンだけではなく、身体との向き合い方にもあるのではないでしょうか。

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