世界最高峰のイタリア・セリエAで長年プレーを続け、日本代表のエースとして活躍を続ける石川祐希選手。
バレーボールは、ジャンプや着地、繰り返されるスパイク動作によって、肩や腰、膝に大きな負担がかかる競技です。実際、多くの選手が痛みを抱えながらプレーしたり、時には長期離脱を経験したりします。
そんな中、石川選手は大きな長期離脱が比較的少なく、長年にわたって高いパフォーマンスを維持しています。
なぜ石川選手は「壊れにくい身体」を維持できているのでしょうか。
理学療法士の視点からフォームや身体の使い方を考察すると、その秘密は美しいスパイクフォームと効率的な運動連鎖にあるように感じます。
理由① 胸椎と股関節を使った効率的な運動連鎖
アタッカーに多い肩や腰の痛みは、身体全体ではなく腕や腰に負担が集中してしまうことが原因の一つとされています。
石川選手のスパイク動作を見ると、股関節から生み出された力を胸椎(背中の背骨)を通して腕へ伝える、非常に効率的な動きが印象的です。
ジャンプ中に身体を反らせる場面でも、腰だけで反るのではなく、本来大きく動くべき胸椎がしなやかに動いているように見えます。
下半身から体幹、そして腕へと力が連続して伝わることで、肩や腰への局所的な負担を分散できている可能性があります。
理由② 着地技術の高さと股関節の安定性
バレーボールで大きな怪我につながりやすいのが、スパイク後の着地動作です。
特にジャンパー膝や前十字靭帯損傷などは、着地時の衝撃やアライメントの崩れが関係すると考えられています。
石川選手の着地動作を見ていると、空中で姿勢を崩した場面でも、股関節・膝・足関節がスムーズに連動して衝撃を吸収している印象を受けます。
また、片脚着地の場面でも、膝が大きく内側へ入る「ニーイン」が少なく、骨盤の安定性も高いように見えます。
これは中臀筋をはじめとした股関節周囲筋の強さや、優れた身体コントロール能力の表れかもしれません。
理由③ 身体の変化を察知するセルフマネジメント能力
石川選手はインタビューなどで、日頃から身体のケアやコンディション管理を大切にしていることを語っています。
理学療法の分野では、自分の身体の位置や動きを感じ取る能力を「固有感覚」と呼びます。
疲労が蓄積すると、この感覚が鈍くなり、フォームの乱れや怪我につながることがあります。
トップアスリートほど、自分の身体のわずかな違和感を敏感に察知し、早い段階で修正しているケースが少なくありません。
石川選手もまた、高いセルフマネジメント能力によってコンディションを維持している選手の一人なのではないでしょうか。
バレーボール選手が参考にしたいポイント
もしスパイクで肩や腰に痛みを感じる場合は、筋力だけでなく「胸椎の柔軟性」や「股関節の動き」に目を向けることも重要です。
特に胸椎の回旋可動域が改善すると、肩だけに頼らないスパイク動作につながることがあります。
また、着地時の姿勢や片脚支持の安定性を高めることも、怪我予防には欠かせません。
まとめ|石川祐希選手の強さは「壊れにくい身体づくり」にもある
石川祐希選手の長年にわたる活躍の背景には、優れた技術や精神力だけでなく、効率的な身体の使い方と高いセルフマネジメント能力があるように感じます。
ネーションズリーグや国際大会を観戦するときは、スパイクの威力だけでなく、ジャンプ後の着地や身体の使い方にも注目してみてください。
ボールを打つ瞬間だけではなく、その前後の動きにも、世界トップレベルの技術が詰まっているはずです。


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